デンタルアドクロニクル 2012
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巻頭特集1● 歯科における学会の現状と今後の展望~ 認定医・専門医が日本の歯科界を牽引する~ Quint DENTAL AD Chronicle 2012巻頭特集1● 歯科における学会の現状と今後の展望~ 認定医・専門医が日本の歯科界を牽引する~ Quint DENTAL AD Chronicle 2012あること、③認定士講習会に3回以上出席していること、④学会の学術集会、または雑誌において歯科技工学に関連する発表を行っていること、そして⑤認定士2名の推薦があること、という条件があります。さらにこの資格は5年ごとの更新制で、取得してからも継続して執筆・講演活動を行っていく必要があります。このようにかなりハードルは高いですが、それだけに歴代の認定士には歯科界でも著名な方々が揃っていますし、取得すれば世界が広がるに違いありません。ベテランだけでなく多くの若手歯科技工士による申請を歓迎しています。読者の皆様にも、生涯学習のひとつとして、ぜひ認定士として活躍していただきたい、そう思っています。■ これからは「専門認定士」の時代へ! 本来、学術の研鑽にメリットを求めてはいけないと私は思っていますが、実際には「認定士を取得したほうが歯科技工所の宣伝になる」あるいは「よりクオリティの高い補綴装置を提供できる」というメリットがあるほうがモチベーションも高まりますし、結果として歯科医療全体のレベルアップにつながるのではないか、という見かたもあります。 そこで私が今後訴えていきたいのが、先述の認定士よりも一歩進んだ「専門認定士」制度の創設です。すでに歯科医師の世界では専門医制度が確立されており、口腔外科・小児歯科・矯正歯科の3科目についてはそれぞれの専門医として診療科を標榜することができます。このように、きちんと看板に掲げられる専門分野が歯科技工士にも必要だろうということです。 現在、歯科医療機関や歯科技工所の広告については基準があり、いくら得意分野や資格があっても「審美技工」などと看板を出すことはできない状況です。もっとも、インターネット上ではその種のホームページを公開している歯科技工所もないわけではないと思いますが、本来は国や学会が認める専門認定士資格というものが必要で、ただ任意に宣伝するだけでは評価の対象にはなりえません。そうした意味からも、現在いわれている歯科技工学会の法人化の必要性が望まれるわけです。 これが実現されれば、学んだことに対するメリットがよりいっそう出てくると思います。現状では、「セラミスト」などといった言葉が何の基準もなく用いられていますが、公に義歯専門認定士、セラミックス専門認定士ということを、国や学会による裏付けをもっていえるようになること、これが今後の課題だと思っています。もちろん現状の認定士でも歯科技工士のモチベーション向上や学術の発展には役立つわけですが、社会に対する発信力は十分ではないですから。■ 終わりに ―学びから出会いが、出会いからまた学びが― さて最後に、私がこれまで学んできた中でとくに印象に残った言葉をひとつ紹介して締めくくりたいと思います。私は1988年、小宮山彌太郎先生(東京都開業)のご教授のおかげでイエテボリ大学ブローネマルククリニック(スウェーデン)において日本在住の歯科技工士として初めてインプラント技工のコースを受講させていただきました。その頃小宮山先生はいつも「物事の華やかな面だけではなく、その裏側もしっかりみること」のたいせつさを強調されていました。今思えば、小宮山先生には当時からインプラントの光の部分も影の部分もみえておられたのだと思います。 このように貴重な経験をさせていただき、しかも今に至るまで教訓となるような言葉をいただけたのは、やはり自分自身がつねに学ぶ姿勢を忘れなかったこと、これに尽きると思っています。とかく歯科技工士は孤独になりがちで、そういったことからも離職率が高いのだと思いますが、どのような環境にあっても他人から学ぶ姿勢を忘れなければおのずから人と人とのつながりが生まれ、そのつながりが新たな学びにつながるわけです。この歯科技工界には、すでに多くの学びのチャンスがあります。それを逃すことなく、自身のスキルアップと患者さんの健康のために頑張っていきましょう。(談)19

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