デンタルアドクロニクル 2012
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というものです。 東日本大震災直後から、公共CMで放映された「心は誰にも見えないけれど、心づかいは見える」「思いは見えないけれど、思いやりは誰にも見える」は、宮沢章二の詩です。また、震災後テレビから流れてきた「遊ぼうというと遊ぼうという」「ごめんねというとごめんねという」「こだまでしょうか」は、金子みすず(大正~昭和のはじめの詩人)の詩です。 いずれも「接し方によって相手も態度を変える」という“日本の心”です。心の時代に変化しつつある今の時代、スタッフの方々にこうした「日本人らしい心」の教育にもとづく患者サービスを行ってほしいと思います。 このように、心を核にしての患者さんとのやりとりがあってこそ、サービスする側も「心が豊かになり」、受け手側(患者さん)も「精神的な満足感が高まる」ことになります。日本民族のもっとも優れた心とは ここで「日本民族の精華」(もっとも優れたところ、真髄)とされるキーワードについて紹介しておきましょう(図表参照)。 図表の一つひとつの項目は、日本人ならではのスピリットですので、こうした行為や姿を見て、人びとは心からの敬愛の念を深めずにはいられません(東日本の震災時にそれが実証されたように)。 先生方やスタッフが、時には自己へ負荷がかかったり、不快なことであったりしても“身を犠牲にして”患者さんのために尽くすことにより、医院への信者的ファンが増えていくものです。 そのためには、日頃から“惻隠の情”(他人の心情を思いやってかわいそうに思うこと)を磨き深めておかねばなりません。昨夜から、歯が痛くて痛くて眠れなかった患者さんの心情にどれだけ入り込んで接遇できるか、ということです。 「ここは歯医者なんだから、痛いという患者を待たせて当然だ!」などといった態度は、惻隠の心をもった患者さんの目からはどう映っていることでしょう。 「堅忍不抜」は、我慢強くじっとこらえてゆるがないことです。 「最近の若いスタッフは我慢をしらない、“忍”を知らない」「ちょっとした先生の強い指導や、仲間のスタッフとの人間関係ですぐ辞めてしまう」などの声を多く耳にしますが、先生方も若い彼女たちに、技術の指導のみならず普段から「堅忍不抜」の精神の指導を行うことを考えてみてください。 また、今の世の中は金銭よりも“徳”と“人情”を求める時代に入ってきていることを忘れてはなりません。もともとこのことは、日本人がDNAの中で大切にしてきた伝統精神です。 「金もち先生」より「徳もち先生」や「情もち先生」のほうが敬愛を受けることは、改めて述べるまでもありません。 若いスタッフの人たちは自由を求めますが、自由より「和」と「秩序」の大切さを教えてあげてください。 医院としての地位や先生の名声も大切ですが、それ以上に大切なのは「絆」です。スタッフ間や近隣の方々、患者さんとの“絶ちがたいつながり”が、精神の安心・安定をもたらす幸福の源であることを忘れてはなりません。 人びと(スタッフや患者さんも含め)が「心の豊かさを求める」今日であればこそ、こうした日本的な心を踏まえて医院の運営をしていくことこそが、真の日本的医院経営であると私は思います。今、求められる日本的医院経営とはまずは人間重視の経営を 日本的経営の第一は「人間重視」の経営巻頭特集 432

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