デンタルアドクロニクル 2012
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です。 「社員は家族と思え」が、昭和までの日本の企業や医院の合言葉でした。家族ですから、スタッフを自分の子供のように可愛がり、心を込めて指導をし、人間としてのあり方を院長先生は教え込みました。そんな親心を感じたからこそ、先生方を父母のように慕い、信頼し、定着率もよかったわけです。 愛がなく、スタッフを一つの機能として、合理的なロボットサービスを行うスキル開発ばかりしていては、一定のスキルアップが完了したスタッフは、次のスキル開発の場を求めて転職していってしまいます。連帯力で道を拓く 日本的経営の第二は「和」の経営です。もともと“共合体意識”をDNAの中に潜在する日本人には、仲間意識を求めて、“ウチの医院”と話すように、“ウチ意識”を持って働きたいという欲求が潜んでいます。 ですから、新人もベテランも、歯科衛生士も受付スタッフも先生方も、お互いの持つ力(取り柄・持ち味)を上手に組み合わせ、チームでワークする連帯プレイを求めています。 立場を超えてつながる「連帯力の向上」のためには、「紡い直し」が必要です。「紡い」とは、舟と舟をつなぐ綱のことです。そうした絆の綱を結び直し、連帯力を高めチーム医療力を向上することが、今こそ大切な時代です。 そのためにも、お互いにフランクに語り合うコミュニケーションの場を、多く持つことが大切です。フォーマルの語らいはもちろん、飲み会などインフォーマルなつながりの場も、定期的に持つよう心掛けたいものです。ホスピタリティの風土づくり 第三には、病院全体の雰囲気や風土を「思いやり・気配りを発信し行動するムード」に徹底して作り込んでいくこと。患者さんに対してのホスピタリティは当然ですが、仲間のスタッフや先生に対しても、ホスピタリヤンとして気配り・思いやりの行為行動を高めていくことです。 先生も患者さんばかりでなく、同行者(お子様を連れてきたお母さん、おばあちゃんに付き添ったお嫁さん)に対するホスピタリティを率先して示すことも忘れてはなりません。 現代の世は“愛の欠乏感”の高まる時代ですので、ちょっとした気配り・思いやりに患者さんたちは感動し、「あの医院の先生やスタッフは親切でやさしい」と評判は高まっていくことでしょう。技術の高さや機能的サービスの優劣を評価するのは、患者さんたちには難しいかもしれません。しかし、やさしさや気配りは、子供でも老人でも評価できるわかりやすいサービスなのです。「抜苦与楽」でハッピー創出 昔から日本では、やさしさのシンボルは観音様です。観音様の役目は「抜苦与楽」つまり、苦・しみを抜・いて楽・(ハッピー)を与・えることです。 歯の痛みを抜くのは、それが仕事ですので、プロとしてスムーズに処置して当然です。しかし「あの医院に行くことで“与楽を受けた”」「心がハッピーになった」ということは、また別のかかわりの中で生まれます。 今日のように「精神的な満足を求める」人びとが多くなっていく時代は、先生・スタッフ一丸となって、来院されるすべての人のハッピーを創出する「ハッピー創出医院」にしていきたいものです。 その行為(利他の精神での徳積みする行動)により、先生もスタッフも、物・金の豊かさを得るだけでなく、心が豊かになり、多くの心の豊かな人びとの集う医院となっていくことでしょう。■「自己犠牲」(自分は犠牲になっても他人のためにつくす)■「恕(じょ)」(他人の気持ちを思いやり、気配りする)■ 「堅忍(けんにん)不抜(ふばつ)」の精神(我慢強く、じっとこらえて心がゆるがない)■「勇猛果敢」(思い切って勇ましく物事を行う)■「徳」と「人情」が先にあり、次に「金銭感覚」■ 社員、家族、地域との「絆」を大切にしている【“きずな”とは絶ちがたいつながりのこと】心の豊かさを求めて ―日本的経営の再発見―33

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