デンタルアドクロニクル 2012
40/192

38歯科界のトップが語る場が人を育てる̶̶1年生スタッフにドカンと任せる宮 本 JIADSは、研修会がメインの組織ですから、教育に重点を置いており、卒業生もすでに6,500人を数えています。この卒業生の中から講師が生まれ、新しい人たちに歯科臨床の指導をしています。ですから、私の役割は、信頼できる人、後進の指導に当たれる人を育てることにあります。 私は、常々から「場が人を育てる」と思っていますので、たとえば講師になりたいとしたら、できるだけチャンスを与えてあげる、一つでも講義を持たせてあげる、それが本人の専門分野に磨きをかけることになり、自信がつき、伸びていきます。それを積み重ねることで、ピラミッドがどんどん大きくなるんです。茂久田 今、宮本先生がおっしゃった「場が人を育てる」ということは、ビジネスにおいても共通する大切な考えです。 茂久田でも、1年生の若いスタッフを、海外の学会や展示会、海外メーカーへの訪問や商談の責任者として積極的に参加・立案させ、トップの先生方とも近い視点で物事を考え、素早く検討・決定できるように、入社すぐからトレーニングを積んでいます。 小さな責任と低い目標から徐々に内容を高めていく一般的な指導法では、部下の成長速度が早かった場合、伸びたい若手が成長機会を失って、お互いに不満を残します。 そこで私どもは、入社したての新人に、広告まるごと、カタログまるごと、デンタルショーのブース設計まるごとなど、結果を肌で感じられる、やりがいのある仕事をドーンと任せてしまいます。 ゴールまでの道のりが長く準備が多岐にわたるほど、過程で学ぶことは多く、深く、広くなります。人脈や知識などの中から、何が自分に足りないのか弱点を実感し、謙虚に周囲の助けを請うことで、そこから成長するスピードも早まっていきます。 個人の数量ノルマが一切ないわが社では、全員が大きな目標・長期的なプラン・大勢が参加するプロジェクトに率先垂範して取り組みます。複数のプロジェクトが同時に誕生し、成果を上げ、解散します。そのたびに、新しいアイデアが生まれ、実践され、全員に共有・蓄積されていくのです。 したがって、まず大事なことは、スタッフ同士がよい師匠、メンターあるいはバディ(相棒)となって、教え・教わることが自然にできる企業体質になることです。その結果、新人を含めた全員が歯科業界の皆さまにご恩返しできるスピードが早まり、信頼感が高まり、貢献させていただけるチャンスもますます増えていくと考えます。スタッフの目線がそろって協力し、強くなる宮 本 メンターを得ることは大事です。私も、小野先生という素晴らしいメンターに巡り合ったことで、今日があると思っています。よきメンターがいると、目指すべき方向が明確になり、ブレがなくなりますね。 ところで、社長が考えている組織づくりを徹底していくには、やはり社員の採用から教育に至るまで、一貫したポリシーが必要となるのでしょうね。とくに採用にあたっては、トップが先頭に立って、面接を行い、内定まで至るのですか?茂久田 新入社員の面接・採用も、私はまったくノータッチで、入社5~6年までの社員を中心に行っています。 昨年は、5,500人もの学生から応募がありまして、150人ずつ集めて面接を行いましたが、私は、最後まで一度も面接に参加しません。 部長や課長も参加せず、例年どおりに入社5~6年までのスタッフが、6次面接までのすべてを行って、内定提示まで完遂しました。 自分たちが良さを見出して内定を認めたわけですから、採用される社員の育成プランについても責任を持って考え、教育プログラムをみっちりと練り込んで、学び合いながら実施します。宮 本 それは大胆なすすめ方ですね。ほとんどの場合、トップとスタッフとでは立ち位置や考え方の見通しが違うものです。となれば、最終的な意思決定はトップが行うわけですか。茂久田 私は何も手を加えません。スタッフの総意がそのまま会社の最終決定となります。 「スタッフ全員が社長候補・社長予備軍」であると考え、『自分で結論を出す』ことを全員に要求し、その重要性が理解されているからです。 ひとりの優れたアイデアを基にして導かれた結論が、すぐにみんなで実施され、成功へ到達できる精度を保つためには、私を含むスタッフ全員の目線が揃い、将来へのビジョンが共有できていることが必須条件になります。 発案者がゴールを皆に示し、全スタッフの合意が得られているわけですから、私のところに報告が届いた時点で、すでに実行できる体制が整っているというわけです。したがって、私が決定・指示をする前から、いつも会社の中は、最初の一歩を早く踏み出そうというムードに満ちあふれています。 トップはあくまでも最初にゴールと目標を提示することが大事であり、ビジョンが共有されプロジェクトが始まったならば、百歩下がってメンバーのサポートに徹するほうが良い結果につながると考えます。 すべてスタッフに任せています。トップは報告を受けるだけです。任せると人は育っていきますから……。究極の世界初製品を!しかも、使いやすく!!宮 本 茂久田さんは、しっかりしたブランドの歯科医療機器を輸入し、新規開発して製造の依頼も行っています

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です