デンタルアドクロニクル 2012
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82■ はじめに 近年の優れた接着材と、機械的性能と審美性に優れたコンポジットレジンにより、歯質保存的な審美修復は、比較的大型の欠損修復にも適用が拡大している。一方ではう蝕と歯周病の予防と管理の充実により、健全な残存歯を多く有する高齢者も増加傾向にある。このような時代背景のなか、松風社の提唱するMiCDコンセプト(Minimally Invasive Cosmetic Dentistry: 天然歯への侵襲を最小限に抑えつつ審美的結果を提供する患者ニーズに沿った歯科治療)は、できる限り健全できれいな自分の歯で一生を過ごすという、万人の望むところを目指すものである。 接着性レジンの性能が向上したとはいえ、二次う蝕が再修復の原因としてもっとも頻度が高いものであることは依然として解消されていない。審美的な修復であるがゆえに、マージン部の軽微な変色や着色でも再研磨や補修といった対応が必要なことも多い。また、加齢とともに歯根部が露出する傾向があり、運動機能や口腔領域の筋機能の低下により、口腔内の自浄性やセルフケアが低下し、根面う蝕のリスクは増大する。二次う蝕と根面う蝕の予防は、わが国を始めとする、高齢化がすすみ、かつ口腔ケアが充実した地域における共通の課題である。 松風社が独自に開発した技術の1つに、レジン材料でありながらグラスアイオノマー相を有する修復材料がある。これはS-PRG(Surface-prereacted Glassionomer)技術によるものであり、フッ素リリースとリチャージ(徐放と再取り込み)機能を有するフィラーを添加することで、修復歯や口腔内環境の健全化を図ることが期待される。■ S-PRGフィラーとは? S-PRGフィラーは、酸反応性フッ素含有ガラスフィラーとポリアクリル酸とがグラスアイオノマー反応を起こすことを利用して、フィラー表面にグラスアイオノマー相を形成させることで生成される(図1)。内部にガラスコアを残し、表層に強化層をドラッグデリバリー材料の未来田上順次東京医科歯科大学大学院う蝕制御学分野連絡先:〒113-8549 東京都文京区湯島1-5-451980年 東京医科歯科大学卒業同年 同大学歯科保存学第一講座入局現在 東京医科歯科大学大学院・教授基調論文基調論文

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