デンタルアドクロニクル 2013
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99(株)松風─2013年誌上シンポジウム「バイオアクティブ機能性歯科材料」を探る製品群が挙げられる。Giomerは、抗菌作用、F-徐放による再石灰化促進と抗う蝕性の向上、プラークの付着抑制効果、酸緩衝能などといった優れた機能性を有している。機能性マテリアルの性質を考慮すると、レイヤリングの層は歯面と接する最内層と外界に接する表層、その中間層の3層に区別できる(図A)。[歯面と接する層] 歯面と接する層は、歯質との接着界面であり、ボンディング材とフロアブルレジンの層と捉えるとよいだろう。ここで重要視しなければならない機能性は、抗菌作用と再石灰化促進作用である。現在のう蝕除去の基準は、脱灰しているが感染していない透明層を温存し、この層より上部を確実に除去することであるため、感染歯質の取り残しと脱灰による歯質の脆弱化の可能性がつきまとう。この問題を解消するのに、抗菌作用と再石灰化促進作用が非常に有効である。とくにう蝕が歯髄に近接しているケースにおいては、歯髄温存の必要条件である窩壁の無菌化と辺縁漏洩の防止2が同時に獲得できる機能性ボンディング材の適応は、臨床の場で大きな恩恵をもたらすものと思われる(図1)。 また、2級および5級窩洞の歯頸部辺縁のような接着が確立されにくい部位においては、湿潤状態でも接着しやすい機能性ボンディング材(例:フルオロボンドシェイクワン)の使用や、伸びがよく、辺縁の浮き上がりのない機能性フロアブルレジン(例:ビューティフィルフロー)の使用は、接着を強固に成立させる意味においても重要である。仮にわずかながら辺縁漏洩が起きてしまった場合でも、機能性マテリアルによる抗菌作用と抗う蝕性の向上および酸緩衝能により、マイクロギャップ部の脱灰が防止できる可能性が高まることにおいても極めて有効であると考える(図2)。[外界に接する層] 外界に接する層において重要な機能性は、F-徐放による再石灰化促進と抗う蝕性の向上、酸緩衝能、そしてプラーク付着抑制効果である。う蝕を形成した履歴のある充填部位だけでなく、充填部位周囲の歯質に対するこれらの機能性の効果は、う蝕や歯周病のハイリスクケースに対し、大きな“保険”となりうる可能性がある(図3)。図2a 頬側歯肉がやや増殖し、楔状欠損部の窩洞が歯肉縁下に及んでいる。図2b 電気メスにて歯肉を除去後、窩洞形成。図2a図2b図2c フルオロボンドシェイクワンおよびビューティフィルフローにて歯面に接する層を充填。図2d 充填後の歯肉の治癒は良好である。防湿が困難な部位は、機能性マテリアルを用いた充填が有効と思われる。図2c図2d症例2 :歯肉切除を併用した歯肉縁下部位への充填ケース

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