デンタルアドクロニクル 2013
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《座談会》 「8020」と「生活の歯科医療」を歯科界の二本柱に!13庭で草むしりをするほど元気になったという象徴的な例が紹介されています。今後の国民向け広報活動としては、こういった生命を助ける歯科医学とともに、ごくノーマルな方たちが、口腔機能を回復し、予防に努めることで、生きがいを持って自分の人生を送っていただけることにも触れたテレビ番組を、日本歯科医師会では制作しています。 介護や在宅歯科医療の重要性とともに、OLやサラリーマン、主婦、小児など、ごく普通の生活を送っている方たちの歯のケアをすることが、人びとの人生を豊かにするのだ、といったメッセージと、両方を発信できることが重要で、バランスよく番組を制作していきたいと思っております。佐々木:私が思いますに、倉治先生がおっしゃった活動は、今までもなさってきていますし、それを広く宣伝するというか、伝えていくことは大事だと思いますが、やはり大久保先生がおっしゃっている介護者とか訪問看護は非常に大事なテーマではないかと思っています。 それは、今までも一部でやられていて、私も1997年に、加藤武彦先生の『出かける歯科診療』という本をつくりましたが、当時から加藤先生は「みんなこういうことをやらなきゃいかんのだよ。こういう時代がくるんだ」ということを、率先してみんなに知らせていました。この間の大久保先生の本にも、そういったことが書かれています。 しかし、これが広がりを見せたということは、そんなに聞いてないんですね。それはなぜかというと、ひとつはあくまで個人の活動であったからだと思うんです。会としての活動ではなくて、個人としての活動であるから限界があるんでしょう。歯科医師も、高齢者の人たちに対して大きな貢献ができるという、計り知れない喜びがあるはずです。 ですから、訪問診療とか介護とかの教育にもっと力を入れて、そういう歯科医師を世に送り出さなければいけないのではないか。そういう意味では、住友先生のところで今度おつくりになりました口腔リハビリテーション多摩クリニックは、ひとつの先駆けになるのではないかと思います。住友先生のところでは、今後これをどういうふうに展開しようとお考えになっているのでしょうか。在宅診療では「全身管理」と「医科との連携」が壁に!住友:日本歯科医師会が在宅診療でアンケート調査をしたんだそうです。この前、ポータブル歯科治療器のシンポジウムのときに、そのデータを見せてもらいました。まず在宅診療に絶対的に必要なものの1位が「全身管理の知識と技術」、2位が「医科との連携」なんですね。それがクリアできないと、在宅診療を大きく展開することができないのではないかということなんですね。今まで私らが講演に行って、多くの方にこのようなテーマでお話しているわけです。「全身管理の知識と技術」が本当に身についていれば、こういうアンケート結果は出ないはずだけど、なぜそういうことが出てきたのかというと、やはり卒前教育が不足しているということですね。 「医科との連携」ついていえば、医科と歯科との共通言語、とくに医科系の共通言語、たとえばNYHA(NewYorkHeartAssociation)の心機能の分類で、Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度、Ⅳ度とあります。内科の先生に「この私の患者さんは、NYHA分類では何度ですか」と聞いて、「Ⅰ度ですよ」とか「Ⅱ度ですよ」といわれれば、それが共通言語になっているので通じます。歯科では、そういう医科との共通言語があまり教育されてなかったんですね。 医科との共通言語を身につけなければ、チーム医療といっても、歯科が浮いてしまいかねません。看護師は理解しれているし、ソーシャルワーカーなども医療の現場でやっているから、知っているんですね。ところが、歯科は歯科衛生士を含めて別の世界で教育されていて、会話が成り立たないんですよ。 たとえば、本学の多摩のリハビリテーションセンターですと、チーム医療ですから医師もいるし、いろいろな職種の人がきますから、共通言語を現場で学ぶことにもなるわけです。全身管理的な知識は、麻酔や口腔外科専門の先生は学んでいるが、そのための研修の場として他の領域の先生方にも、このリハビリセンターを大いに利用していただきたいものです。このリハビリ分野には、海外からも研修にきたいという希望がありますから、共通言語の学習の場としてはもちろん、もっと国際的な広がりのある拠点にするというのが設立の趣旨なんです。 もうひとつ特色があって、安井先生はご存じかもしれませんが、地域の高齢者の料理教室ができることです。そこで、寝たきりの方用のレシピなどを学ぶことになっているんですが、やはりこれは歯科が関与する部分だと思います。今までは、ポータブルの治療器を持っていって削って、健常者と同じような治療を施すのが、在宅医療といっていたのではないでしょうか。それだけではなく、食事の話をしてくるのだっていいわけで、「こういう料理が、こういう人にはふさわしいんだよ」ということも必要です。今まではそうしたものが学べる場所がなかったんですね。このリハビリセンターを皆さまに大いに利用してもらいたいところです。 おもしろい話をひとつ。いま寝たきりと

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