デンタルアドクロニクル 2013
18/192

巻頭大特集1 歯科医療が目指す「生活の医療」とは161 歯科医療が対応していくべき超高齢社会の課題と歯科医療のゴールとは? 総務省統計局の推計では、平成24年9月15日現在で、高齢者(65歳以上)の総人口に占める割合は24.1%で過去最高となりました。いわゆる団塊の世代が65歳に達しはじめ、今後さらに加速して高齢化がすすんでいくといわれています。 超高齢社会は多死社会ともいえます。つまり、必然的に要介護高齢者が増え、病院や施設の絶対数は足らず、在宅療養者の増加が見込まれます。このような状況の中、私たち歯科医師はどのように対応していけばいいのでしょうか。 訪問歯科診療は当初、主訴のみを解決する診療を行ってきました。歯が痛い、腫れた、入れ歯が合わない等々、急性症状への対応が主で、従来「往診」と呼ばれる診療形態でした。 しかし、超高齢社会は医療の方向性を大きく変貌させています。医学の進歩や社会環境の改善により、急性期を過ぎた疾患は慢性化し、患者さんは障害を抱えながらも、安定した状態を保ち在宅生活を送っています。そして、このような高齢者が急速に増えているのです。 療養が長期にわたると、身体の機能が徐々に低下していき、口腔領域でいえば、咀嚼や嚥下機能に支障をきたす患者さんが増えていきます。また、口腔ケアと誤嚥性肺炎の関係が解明されるにつれて、ますますその重要性も認識されてきました。そのため、口腔ケア(器質的・機能的)の実践が、より一層求められてきています。 2 一歯科医師としての取り組み(訪問歯科診療と地域連携) 前述したように「訪問歯科診療」といえば、急性期疾患への対応でした。しかし、状態が安定しているとはいえ、原疾患の後遺症により生じた嚥下障害、あるいは栄養状態改善のために施行した胃瘻、呼吸管理の目的での気管切開や人工呼吸器装着、そして繰り返し発症する誤嚥性肺炎などは、在宅療養中の本人や家族に大きな負担を強 巻頭大特集人生80年代における歯科医療の実践栗原由紀夫(静岡県開業)栗原由紀夫(くりはら・ゆきお)栗原歯科医院院長。1983年、東京歯科大学卒業。歯学博士。東京歯科大学非常勤講師(口腔外科学)。日本老年歯科医学会専門医・指導医、日本摂食・嚥下リハビリテーション学会認定士、日本認知症ケア学会専門士。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です