デンタルアドクロニクル 2013
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人生80年代における歯科医療の実践19 私たち歯科医療職は、本来の口の機能をもう一度再確認し、その働きを患者さんの状態に即して最大限に引き出す努力をしなければなりません。しかし、それは別に難しいことではなく、日常的に私たちが普通に行っている口の環境を整えること(診療)をすればいいのです。つまり、口腔内を徹底的に清掃し、痛む歯は治し、欠損部には義歯を装着することです。 ただし、ここで大切なことは、機能が低下している要介護高齢者は義歯を上手に使いこなせない状態だ、ということを認識しなければなりません。 いうまでもなく、咀嚼という行為は、口の中で最適な嚥下食をつくる作業です。これがうまくいかなければ、嚥下は二の次になります。口腔ケア(器質的・機能的)を通じて、義歯がしっかり使える「口」、咀嚼がしっかりできる「口」をつくることが、歯科医療職の重要な役割であり、専門職としての責務だと考えるべきでしょう。 「新しい歯科医師像」は、これまでの歯科医師とまったく別な次元のものではなく、今までの歯科医師が少し違う視点をもちさえすればよいのではないでしょうか。 それは、患者さん自身だけを観察するのではなく、家族や生活環境、利用しているサービス(フォーマル、インフォーマルを問わず)、他の専門職種の人びと(彼らが関わる理由)、地域の実情から、最終的には(少し大げさですが)日本全体の超高齢社会を俯瞰する目をもつことだと考えます。 超高齢社会や訪問歯科診療は、結局のところ自分自身の問題でもあります。私を含め、すべての人が高齢者になっていきます。そして、必ず死を迎えます。人生の幕引きが近づいたとき、できるだけ健やかな生活を送りたいと誰もが願っているのです。 今後も、口から食べられない要介護高齢者に遭遇したとき、たとえ1日1食でも、あるいは一口でも、味を感じるわずかな一滴の味噌汁だけでも経口摂取ができないか、考えていきたいと思っています。 「口から食べる」ことを通じて、最後まで人としての尊厳を保つことを一生懸命考え、要介護高齢者と家族に寄り添い、そのQOLが向上するように、生活を支える視点をもつことが「新しい歯科医師像」ではないでしょうか。皆さんのご批判をいただければ幸いです。図4 シンポジウム「口で決まる生き方の選択」。パネラー:医師、ケアマネジャー、看護師、歯科衛生士、管理栄養士/コーディネイター:歯科医師。職 種人 数(人)介護福祉士30看護師21歯科衛生士17ケアマネジャー12言語聴覚士10歯科医師8栄養士5管理栄養士4衛生士学校教員4医師1歯科技工士1臨床検査技師1社会福祉士1その他15合 計130表1 口腔ケアネットワーク(三島)職種別会員数(平成24年6月現在)。

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