デンタルアドクロニクル 2013
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巻頭特集3 株式会社 モリタ「Soaric」ダブル金賞受賞記念対談24となれば、次の製品以降も、デザインを大切に開発していこうと、技術者も思うはずですから……。iFデザイン金賞、グッドデザイン金賞をもらえたことは、非常に励みになると思います。 来年、当社のチェア「スペースライン」の誕生50周年を迎えるのですが、その「スペースライン」を開発したDr.ビーチとの話の中では、常に「デザイン」が大きな要素ととらえられていました。インスツルメントが見えないため患者さんに恐怖感を与えないとか、機械だけではなくてキャビネットとの機能的な関係、デザイン的な表現をし、プライバシーを確保しながらも、オープンなスペースにしています。 そういう診療環境全体のデザインを考えて、製品づくりや歯科医院づくりの提案をしてきていたはずなのですが、単独の機械ごとになってくると、技術の競争に終始してしまうところがあったように思います。佐々木 モリタさんは、Dr.ビーチが登場したときから、ビーチシステム、ビーチの思想が浸透していって、デザインに重きをおくとか、シンプルな診療室をつくることに対しては、かなり取り組んでおられたと思っているのですが……。森田 デザインに意味があったんですね。デザインはトータルしたものでないと、本当の効果は出てきません。それで、キャビネットなど、トータルでつくったわけです。原 デザインをトータルで考えることは必要だと思います。歯科医院のデザインも、ともかく「空間」をものすごく大事にしていますね。 素人の人でも、家をつくるときに、インテリアとかじゃなくて、「トータルデザイン」とか「空間」という言葉を使いはじめたんです。今うちにきてくださる先生方は、デザインを任せてくれるのですが、これは完全に「いい空間をつくりたい」という思いの表れだと思います。佐々木 原さんのところでは、有名な歯科医院のデザインを手がけられておられますが、たとえば、山﨑先生が原宿から渋谷に移られて、原宿のデザインも素晴らしかったけれども、渋谷に移ったときのデザインも相当に考えてやられたと思います。やはりデザインが患者さんを誘引するという効果があると信じているから、それなりのお金をかけてやるとは思うんですね。 そうした先生のところ以外に、若い先生方の医院、あまりお金のかけられない医院もデザインされていると思いますが、デザインを変えれば、あるいは患者さんがワクワクするようなデザインにすれば、患者さんは増えていきますか。どんな条件下でもいい空間を表現するのがデザイナーの役割原 それはいろいろあります。確かに著名な先生方の医院デザインを多くやらせていただいていますが、そんなにオーバーな予算をとってやっているわけじゃないんですよ。なぜそうした先生方が私に仕事を依頼されるかというと、感性が合うからです。つまり、先生は技術に対してプライドを持っていて、その自分の神経が空間にも通じるから、それを表現したいんじゃないかと思っています。 私は若い先生でお金があまりないといっても、たとえローカルな場所であっても、デザインの重要性を理解している先生であれば、限られた予算を有効にし、材料をうまく使いながらつくっていきます。ですから、お金があるからいい空間をつくるのではなくて、先生がどういう意識を持って、患者さんに何を訴えたいのかを理解し、その空間をいかに表現していくかを考えます。iFデザイン金賞(2012年)、グッドデザイン金賞(2012年)をダブル受賞した、株式会社モリタの「Soaric」。

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