デンタルアドクロニクル 2013
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歯科製品にも、歯科医院にも、デザインの優位性が認められた27和感のないものになります。佐々木 デザインの究極の目的として、「患者さんがどれだけ満足するか」ということもひとつ大きなポイントかと思います。ドクターの趣味だけに走ってもいけないし、デザイナーのひとりよがりになってもいけないし、やはり患者さんのニーズをしっかりリサーチする必要があるのでは……。原 患者さんのことを考えるのも確かに大事なことです。患者さんが「この医院はいいですね。落ちつきますよ。先生のお人柄がわかります」といわれるのは、デザイナーとして大変うれしいことです。 ですから、先生が好きだからといって、先生の趣味で選んだものを使うのではなくて、患者さんがどうなのか、先生はどうなのかを確認して検討していかないと、いい空間にはなりません。患者さんと先生の両面が必要です。 しかし、私たちは最終的には先生のことを考えています。先生がそこで仕事をするわけですから、機能的で居心地がよくなければダメなんです。場合によっては、デザイン優先で慣れていただくこともありますが、基本は先生にとって居心地がよくなければいけないんです。 どんなにデザインがよくても、先生が嫌だと思うなら、これはうまくいかないと思います。 それは、治療にきた患者さんから「先生、ここすごく素敵ですね」といわれたとき、先生も気に入っていれば、「そうですか。ありがとうございます。私もこれが好きで……」とコミュニケーションできます。 私は、コミュニケーションがすごく必要だと思っていますから、「先生、ぜひコミュニケーションをとってくださいね。この空間は先生の空間なんですよ」とサゼッションします。企業のトップがデザインに関心を持つ佐々木 モリタさんが製品を開発するとき、いろいろな先生に意見を聞かれるのですか。森田 先生方にはどんなニーズがあるのかをよく聞くようにしています。ただ、モリタの主張をはっきりさせて、会社のブランドイメージと商品が発するイメージを一緒にしていきたい、「モリタの製品」というものを前面に出して、デザイン的にも軸を持たないといけないと考えています。 金賞をいただいた「Soaric」は、デザインのマスターピース的なものとして、それに沿った流れの商品デザインを、今後いろいろな方向に展開していきたいと思っています。当社は、幅広い製品を持っていますから、統一性というか、トータルデザインが必要になってくるでしょうね。原 W金賞をとったことはうれしいことですが、それ以上に、歯科医療のトップメーカーである株式会社モリタの森田社長が、デザインの重要性を強く感じていることを評価したいですね。業界に与える影響は大きいと思います。他社がモリタさんのデンタルショーを見て、おそらくみんなショックを受けたはずです。やはり絶えずショックを与えるのが、一流ブランドの役割ですよ。森田 原先生にそういっていただけると、心強いものがあります。 ドイツのデザイナーと私は非常に気が合うんです。彼の奥さんが日本人のせいか、漆工芸などの日本の工芸品の持つ「和の美」「日本人の良さ」をすごく評価しています。 ですから「外国のデザインをそのまま日本人につくれ」というのではなくて、「あなたたちは日本のメーカーだから、こういうデザインでいこう」と提案してきます。それがすごく感性が合うんですよ。原 日本人の持っている感性、思いやり、気づかいは、これから私たちデザイナーにますます求められてきます。そういう心を持ったものをつくっていくと、間違いなく受け入れられますね。佐々木 日本の製品はインターナショナルになってきていますから、モリタさんのようなトップメーカーは、日本だけじゃなくて、世界を意識した製品づくりをし、世界に向けて発信していただきたいものです。 原先生には、日本の医療空間が「こんなに素晴らしいものだ」ということを、世界に知らしめてほしいものです。本日はありがとうございました。インテリアプランニングアワード2012授賞式にて。

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