デンタルアドクロニクル 2013
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好調期と逆境期の生き方で人間の価値が決まる29苦労をすると人間は2つのタイプに分かれる どんな人間にも波があります。一般的に「ライフサイクル」「運気」と呼ばれるもので、持っている実力や能力に関係なく、なぜかうまくいくことが続いたり、うまくいかないことが続いたりします。 考えているとおりに物事がすすみ、さまざまなことがうまくいく好調期は、誰もが積極的で、チャレンジ精神にあふれ、そして楽しく仕事ができます。結果も出るし、心身ともに充実感を感じることができる時でもあります。 しかし、好調期が必ずその人に幸福をもたらすのかというと、そうではありません。「傲慢」や「自信過剰」という罠に陥り、つぶれてしまう人は少なくありません。 逆に、好調であることに感謝し、そこから得たものを、周りや世の中に還元することで、さらに発展する人もいます。 逆境期は、努力しているのにうまくいかなかったり、空回りばかりをしてしまうといった時期です。頑張っているのになかなか結果が出ないので、心理的に強いストレスを感じます。いわゆる「苦労」をしている状態です。 苦労を体験すると、人間は2つのタイプに分かれます。 ひとつは苦労が恨みになるタイプ。そしてもうひとつが、苦労を経験したゆえに人の温かみに素直に感謝したり、人の痛みがわかるようになるタイプです。 ですから、けっして「苦労=悪いこと」とはなりません。昔の人は「苦労は買ってでもしろ」といいましたが、後者のタイプであれば、苦労はその人の人間性を育て、豊かで魅力的な人間になるのです。どう生きるかによって“人となり”が決まる このように、好調期と逆境期をどのようにとらえ、どう生きるのかによって、その人間の「人となり」というものは決まっていきます。 そして、世の中というものは、結局は人と人で成り立っています。 傲慢で自己中心な人間からは人心が離れ、誠実に努力をする人には協力をしたいと思う人が集まります。そのため、どんな「人となり」になるのかで、人生はまったく違うものになります。 好調期であろうと、逆境期であろうと、その時に「どう生きるのか?」ということが重要になるのです。 当然、私も、この路線で原稿を書きすすめようと考えていました。 ところが実際に、原稿を書き出してみると、あるキーワードが心に引っかかり、原稿がすすまなくなりました。結局、書いては消し、書いては消しという作業を繰り返すはめに。 そのキーワードとは、タイトルの中にある「人間の価値」という言葉です。 先ほどお話したように、好調期と逆境期の生き方で、その「人となり」は決まってきます。でも、この「人となり」と「人間の価値」が、どうしても私の中でイコールにならなかったのです。 たとえば、今回のタイトルが「好調期と逆境期の生き方で、人間性が決まる」というものなら、すんなり理解できます。「人間性」と「人となり」はイコールになるからです。人間の価値=医療人の価値は結果によって決まる 原稿を何度も書き直していくうちに、私はなんだか「人間の価値とは何か?」という問題を出された気分になりました。そして、その課題を一生懸命考えることが楽しくなってきたのです。 何度も原稿を書いては消しを繰り返していくうちに、徐々に私の中で考えがまとまっていきました。 「人間の価値とは何か?」̶̶これは非常に根源的で、哲学的な質問です。立場や場面によって、その答えは変わってきます。 でも、本誌を読む人に共通していることから考えると、ここでいう「人間の価値」は「医療人の価値」ではないかという結論に行き着いたのです。

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