デンタルアドクロニクル 2013
32/192

巻頭特集430 世の中では、価値は結果によって決まります。 たとえば、どんなに開発の段階で心血を注いで作った製品でも、その性能が悪ければ価値はありません。 このように過程ではなく、結果によって価値が決まるのです。ですから、価値を高めるには、結果にこだわることが重要なのです。 では、医療人としての結果とは何なのでしょうか? それは「より良い医療を提供すること」ではありません。なぜなら、それはゴールではないからです。 より良い医療を提供するのは、患者様に快適で健康的なQOLの高い生活を手に入れていただき、豊かな人生を楽しんでいただくためです。これこそがゴールであり、より良い医療を提供することは、その過程にすぎないのです。 医療人として誇れる医療を提供しているのなら、患者数や自費治療数にこだわりましょう。たくさんの人に治療を提供すれば、それだけ多くの人を幸せにできるからです。 そして、どれだけ多くの人に、豊かな人生を手に入れられるようにサポートができたのかが医療人の結果であり、その結果によって「医療人としての価値」が決まるのです。逆境期は次のステップにすすむための準備期間 では、好調期はもちろん、逆境期にも結果を出すには、どのような点に気をつければいいのでしょうか? 好調期と逆境期は、一定周期で巡ってきます。好調期に結果を出すのは難しくありません。問題は、逆境期です。 逆境に遭遇すると、ほとんどの人の行動は「じっと我慢をして耐え忍ぶ」か「さまざまな手を尽くして頑張る」の2つに分かれます。 確かに「うまくいかないことが多いのですから、じっと我慢をすること」が、得策のように感じるかもしれません。また、「じっとしていれば、どんどん悪くなるだろう、とにかく行動を起こして頑張る」というのも、正しいことのように感じます。 実は、この2つとも、うまくいかない場合が多いのです。 じっと我慢をしているということは、行動を起こしていないということですから、当然結果は出ません。また、闇雲に頑張ったからといって、結果が出るほど世の中は甘くありません。結果を出すには、適切なことを実践する必要があるのです。 このような2つの行動をとるのは「逆境=運の流れが悪い」といった価値観を持っているからです。ですから、流れが変わるのを待つか、悪い流れを変えるといった発想になるのです。 でも、逆境期は、別に運が悪い時期ではありません。いうなれば次のステップへすすむための準備期間だから、結果が出づらいだけなのです。 これは、冬をイメージしていただくと理解しやすいかもしれません。 寒い冬に、春や夏と同じように枝葉を伸ばし、花を咲かせようとする植物はありません。冬は、太陽光線が弱いので、枝葉を伸ばすには効率が悪いし、花を咲かせても、花粉を運ぶ昆虫がいないからです。 また、だからといって、冬の間に春に向けての準備をしない植物もありません。何の準備もしていなければ、春が訪れたときに枝葉を伸ばすことができないからです。一見、すべての活動を停止しているように見える植物の中では、着実に次の季節に向かっての準備がされているのです。つまり、闇雲に動くのも、ただじっと我慢をするのも、適切な行動とはいえません。 逆境期にやるべきことは「未来への準備にウエイトをおいた行動」をとること。そうすることで、次のチャンスを活かし、発展することができるようになる東京歯科大学大学院修了。医療法人社団いのうえ歯科医院理事長。歯学博士、経営学博士、コーチ、セラピスト、経営コンサルタント。島根大学医学部臨床教授、国内外4大学客員講師、日本歯科審美学会評議委員。『自分で奇跡を起こす方法』(2008年9月)他、『30代でやるべきこと、やってはいけないこと』『「学び」を「お金」に変える技術』『悩みを消す技術』『患者様をファンにする最強のコミュニケーション』『図解 ドラッカーに学ぶ歯科医院経営50のヒント』など、多くのベストセラーを生む。現在18冊出版(累計70万部)。米国ジョセフ・マーフィー・トラストより世界初のJ・マーフィー・タイトル受賞。井上 裕之(いのえ・ひろゆき)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です