デンタルアドクロニクル 2013
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中堅歯科医師と業界のトップが語る世界から何を吸収し、どう発信していくのか?そこでメーカーの果たす役割は?座長 今日では、歯科の世界もグローバル化がすすみ、世界の学会と日本の学会が、どんどん連携し、近くなってきました。本日ご参加いただいた先生方は、ご自分でよく海外にも行かれているし、海外で論文も積極的に発表されています。また、国内ではスタディグループなどを通じて、海外の情報を吸収しておられますので、その辺からお話をうかがうことにしましょうか。寺内先生は、海外から情報を吸収するとともに、世界に向けても発信しているわけですが、先生が「日本だけではダメだ」と、海外に目を向け始めたのはいつ頃ですか。寺内 1996年頃、普通に根管治療をしていて限界を感じました。保険診療の範囲内で、1人当たり20、30分の治療をしていたのですが、「こんな治療をしていても、患者さんのためにならないのでは……」という気持ちが強くなってきておりました。そんな折、先輩方から「海外の治療はすごいぞ」と聞き、自分でもその海外の治療や海外のスタンダード・オブ・ケアはどのようなものかを知りたくなって、海外に行ってみたのです。 東海岸はペンシルバニア大学、西海岸はUOPとロマリンダ大学、そして個人の歯科医院と、さまざまな場所に行きました。西海岸ではアグレッシブなことをどんどんやってしまいますが、東海岸は割合コンサバティブで伝統を守った治療が多いように感じました。いろいろな先生のコースを受けてわかったことは「日本とは全然違う考えで治療しているな」ということでした。 日本のように、保険治療の枠の中で決められたことをやるのではなくて、デンタル・メディスンとして「その歯を極力治す」という目的が明確なんです。「医療」ということを基本に治療を考える、真の医者の姿をそこで見た思いがしました。 日本の場合は、保険のメニューに沿って治療をする、どちらかというと汎用品をつくるような感じです。根管の形を削って整え、ガッタパーチャを根管充填材として詰めて、治ったか、治っていないかは関係なく、それで終わりです。保険の考え方では一応完結していますが、治っていなければ、実際には患者さんのためにはなっていません。 一方、海外、とくにアメリカでは常にエビデンスにもとづき、「こういう治療法は何%の成功率がある」とか、「治らない原因は、何%がああで、何%はこうだ」というのを細かく出していて、西海岸はアグレッシブにやっています。私にとっては、東より西海岸のほうが影響力は大きかったですね。座長 先生のおっしゃるように、向こうでのいろいろな治療は、エビデンスをバックグラウンドにした治療であり、そこで使われているマテリアルの研究や薬剤などにも負うところが大きいと思いますが、そうした薬剤の研究開発については、アメリカの大学も大きく関与をしているのですか。寺内 アメリカでは、各根管貼薬剤について「この貼薬剤には、こういうメリットがあるが、こういうデメリットもある」と、黒白はっきりつけた教え方をします。メリットしかない薬剤は存在しません。ですから、「こういう症状を呈しているような症例では、こういった貼薬剤を使う。だけど、こういう危険があるからこれを注意しろ」といった教え方をしています。 あくまでも根管治療に関しては、バクテリアとの戦いですから、バクテリアをいかに根管の中から追い出していくかの勝負です。近年ではバイオフィルムが見つかって、薬を投入するだけでは治らないこともわかっており、エビデンスも多数存在しています。バイオフィルムに対しては、物理的に取り≪座談会≫ 世界に向けて発信するために、ドクターとメーカーは何をすべきか?38

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