デンタルアドクロニクル 2013
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株式会社 茂久田商会生方も意見を伝えやすくなるのでしょうが、メーカーとしては極端なバックアップのみに徹するか、先導者のつもりで「今度はこれだ」と押しつけるか、どちらかに片寄りがちです。 茂久田が目指しているのは、いつの時代でも先生方と「目線」も「歩調」も、見ようとする「角度」も揃えていきたいということ。そのためには、先生方が何を「求め」ておられるか、何に「困って」おられるのか。トラブルの症例はどなたも表に出したくないわけですから、それを「話してもいいな」と信頼していただけるところから始まると思っています。 信頼していただくためには、今まさに必要としている製品をカバンに詰めておく、先生方と同じ考えのもとに製品を開発する、世界中の情報をわかりやすく集約する、「あの品物は使いたいなあ」と思われそうな製品を日本に持ってきてすばやく発売する、といった努力を積極的に行い、「さすがだな」「仲間だな」と認めていただくことではないでしょうか。 先生とメーカーとのフォーカスを合わせていくことが使命にもかかわらず、日本のユーザーの声や改良のアイデアについて、ヨーロッパ人とは色も違う、サイズも違う、シェイプも違う、根管のカーブも違うことを理解して、先生の代弁者として本気で伝える企業は今までなかったのでは。「ドイツのマイスターを説得するなんて、ムズカシそうだからやめよう」と商社もドクターも腰がひけていたように思います。 ここをメーカーにきちんと認めさせてものづくりを行うには、先生からの正確な聴き取りに加え、海外メーカーとも相当密接でないと説得はできません。茂久田の若手スタッフが、「これを細くして」というひと言の後ろに、先生がその場にいなくても、患者さんの立場で予後を考える「先生の気持ち」で話せるエビデンスが共有できていれば、先生から預かったアイデアをそっくりそのまま、仕入先の外国のメーカーにも同じことが伝えられるはずです。 この能力と知識は社内ではなくて、先生から教わるわけですので、先生から「教えてやろう」と思っていただけるような素直さとか、吸収力の速さとか、求めることにちゃんとレスポンスが返ってくるという、人間的なマナーやものの考え方ができる新人だけを、毎年の応募者6,000人から選りすぐって数人ずつ採用しています。寺内 現在、どこのメーカーも「このファイルは、ニッケルチタン製なので1本2,000円しますが、使用すると治療時間が短くて済みますので、患者さんが喜びます。そうすると、補綴で自費をすすめやすくなります」などとマーケティングしていきます。しかし、なぜ根管治療で完結させずに、補綴で勝負をするような話をするのか大きな疑問です。 根管治療は、根管治療としてひとつの治療なわけですから、そこできちんと完結したいい治療をすることが大事だと思っています。にもかかわらず、お金が高くとれればよいという考えだけでいくと、医療が崩壊してしまいます。患者さんの歯科医師に対する信頼も失墜してしまうでしょう。 ですから、堂々と「保険範囲外ですが、このような良い治療があります。いかがですか?」と、患者さんに判断させるべきです。保険外の治療は危険、保険内の治療は安全という間違った認識を改め、「良い治療」は患者さんにも正しく伝え、正しい治療をすることが大事なんです。保険内・外は二の次だということです。座長 先生方にフィードバックするにしても、それが実際にいいものか、悪いものかという判断をするのはなかなか難しいと思います。先生と一緒に海外へ出たり、外国人の先生から情報を得る企業が多い中、茂久田さんは、どうやって判断をしておられるのですか?茂久田 日本の学会では、会場内で先生方とお話しすることで、発表者の意図と聴講者の受け止め方の両方をうかがうことができ、判断が定まりやすくなります。海外の学会でも、3〜5日の間に、非常に凝縮された日程が組まれて、別々の会場で同時に4つ、5つのセッションが行われており、どれも見逃せないということも多々ありますので、出発する前の準備をどこまでするかが重要です。 日本の先生方が診療のお忙しい中で、実際に海外に足を運んであらゆる展示会や学会をくまなく見るというのは、時間的・金銭的な制約があるので、代弁者として私たちが海外を訪ねて、そこで得た情報を必要としている先生に、情報そのもの、製品以外の人脈、学会発表の内容など、「これからはこういうことが行われそうです」といった未来を築くための情報を中心に持ち帰るよう指示をしています。 私の考えとして、現地での貴重な時間は、すべて情報収集にあてられるようにしたいのです。その学会に赴く以41

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