デンタルアドクロニクル 2013
45/192

株式会社 茂久田商会ガソリン缶なんですね。 ただ、メーカーに話をして製品化するまでには、メーカーはまずどれだけ売れるか、どれだけ売らないとマイナスかを考えます。それは企業だから当たり前ですが、その結果、「じゃあ、ちょっと考えておきます」といわれて、いろいろな人に振られてしまいますから、「こんなのつくって」などとはいいにくくなります。 寺内先生や米澤先生、そして私も歯科が大好きなんです。そのため「ちょっと普通の先生とは違う」という感覚も持っていますから、「それは先生だからできる」とよくいわれますが、そう思われないために、できるだけエビデンスベースで話をするんです。 講習会で渡す器具でも、「これがいいですよ」ではなくて、そのメインテナンスまで説明しますが、医院に帰ったら半分しかスタッフに伝わらないので、歯科助手や歯科衛生士など「スタッフ全員で受けてください」というようにしています。海外からいろいろなものをチョイスして持ってきたら、そういう講習会で、器具の使い方やメインテナンスの仕方を教えてこそ、真の販売だと思います。売りっぱなしは絶対ダメです。茂久田 青井先生のおっしゃることは、メーカーとして肝に銘じておきたい部分です。 メーカーを代表していわせてもらえば、最初から最後まで信頼を得続けるためには、先生の気持ち・立場・困り事へ、ストレートに立ち戻り考え続けることです。 先生方は医院の中で、日々いろいろなメーカーのものを取り混ぜてプロトコールをつくりながら、「こうすればさらにベストになるな」と組み替えておられるわけです。私たちも、自分の商品を一歩下がって、「その前後に何を使っておられるのか。類似品はなにか。その製品はどういう変遷をたどって、この特長を得られたのか」を知っておかないと、エビデンスベースの「なぜこれが効くのか」とか「じゃあ、次はこれを改良しよう」という話ができないんですね。先生が使っておられる他社商品を敵として排除するのではなくて、これら全部が患者さんの幸せをつくる、歯科を支えるためのキットを構成するパートナーであると考えるべきです。 私たちはパートナーとして、すべての商品に興味・関心を持ち、その素晴らしさを尊重した上で、「どのようにお互いが補いあえばうまくいくか、探しに行くぞ!」という見方で全商品を頭に入れておけば、展示会に行ったとき、学会に行って発表を聞いたとき、その商品がなぜ素晴らしいのか、そのバックグラウンドが先生の気持ちと同調してわかると思うんですね。講演のあとに行われる質疑応答や、発表に対する聴衆の反応によって、発表者が伝えたいことと、聴衆が期待することとのギャップや、何が疑問で聴きにこられたのか、何を伝えれば安心されるのか、双方の気持ちと考えもわかってきます。 商品の説明のとき、キットを組むときに、この双方の気持ちをわかって説明するのと、一方だけを向いて取り組むのとでは説得力が全然違ってきます。無理やりに押しつけたキットは「イエス」「ノー」の返答以上のものは生まれせんが、バックグラウンドをわかってつくったキットは、ユーザーにも参加する余地を感じてもらえるので、使ったあとの意見を吸収してどんどん発展していくでしょうね。 商品の見方、キットの組み方、プロトコールのつくり方、先生が講演発表されるために必要なエビデンスは、一般企業の営業員が教育される「売るための比較や方法」とはまったく別のものです。「エビデンスの種子」を製品と一緒にお渡しして、エビデンスそのものを一緒につくっていくというスタンスを、茂久田では新人のときから身につけられるように指導しています。企業は歯科医師のパートナー・相談役になろう!座長 茂久田さんは、非常に重要なことをおっしゃっていますが、米澤先生のところにくる業者さんはどうですか?米澤 茂久田さんのような輸入商社は、いわば歯科医師の隣にいるパートナーみたいなもので、「先生、これいいですよ」「先生、これは悪いからやめたほうがいい」ということを平気でいえます。残念ながら、物をつくっているメーカーは、自社のものしか売れないというジレンマがあります。ですから、彼らがもしよそのメーカーを褒めるのであれば、素晴らしいことで、その上で「この商品に関しては、どこにも負けていません」といえるメーカーの営業であれば、私は彼のいうことを信じるでしょうね。 茂久田さんが取り扱っているようなインスツルメントは、世界からいいものを集めていただいて、ピンセットひとつでも、私たちは世界中を回るわけにはいきませんから、「茂久田さんがいいといわれるものはいいのだろう。使ってみよう」「やはりいいな」とか「これはちょっと僕の体に合わない」とかは判断していけると思うんです。その中で「もうちょっとこういう改良がほしい」というのもOKだと思います。青井 営業ではなくて技術者がきて、たとえば接着なら「これについては……」と化学式を書いて熱く説明するのを受けて、著名な先生から「この接43

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です