デンタルアドクロニクル 2013
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中堅歯科医師と業界のトップが語る着剤はいいですよ」といわれたら、それを聞いた受講生は「あの先生がいっているんだから買いましょう」となるでしょう。それは講師の責任だと思います。ですから、講習会をしている講師は本当に責任を持つこと、うそをつかないこと、それに対して人よりも勉強していること、これは当たり前のことですが……。米澤 青井先生のおっしゃるとおりで、私はインプラントメーカーの講師をさせていただくとき、講習会でメーカーの看板を背負って話すことも多いのですが、野阪泰弘先生は「これからは、講師も訴えられる時代になるかもしれないよ」といい、「あの先生、こういっていたのに、今は違うことをいうというのは、講師としてあってはならないこと」といわれます。海外の著名な先生の発言に振り回され、本人はとっくに興味がなくなっているのに、周りに被害だけが残る……。 私も、この教えを肝に銘じていまして、私がいったこと・勧めたことを撤回するときは、私にはある意味で歯科医師人生の終わりだと、覚悟するようにしています。もし失敗すれば、後は小さい庵で余生を過ごそう(笑)。 「あの時代はあれがはやったからなぁ。今はもうああいうのはしていないよ」といえる人間のいうことは、基本的に信用してはいけないと思います。私は若い先生に「そんなふうに振り回されないようにするために、よく勉強するんだ」とよくいいます。知識がないと惑わされるんですね。新しい流れがド~ンときて、「うわっ、すげぇ、はやっている。みんなそっち行こうぜ」という形になってしまいます。でも、「いや、ペリオ100年の歴史から考えて、これは絶対にないだろう」「この形状・特性は、こういう問題があるはず」というクリティカルシンキングは、勉強しているから見抜けるのであって、世界のカリスマが「こっち」といっていて、ドンドンそっちにいっていても、「いや、僕はあれは違うと思う」という目で見られて、患者さんを不幸にしないために勉強し、また同じ考えを持つ、信頼できるメーカー、ディーラーを見つけてほしいのです。歯科医師とメーカーの理想的な関係は?寺内 ブキャナン先生がハンズオンコースをされた時に、「この器材はこういう欠点があるから、ここに気をつけてこのように使いましょう」と話されたのがすごく印象的でした。ボルテックスブルーというファイルは、参加者のほぼ全員が「買いたい」と問い合わせてきました。ボルテックスブルーというのは、近年人気が出てきたマルテンサイト相を多く含むニッケルチタンファイルです。超弾性を少なくしてプレカーブが付与できるほど柔らかくなりました。このため、ネゴシエーションでは湾曲があっても、従来のニッケルチタンファイルのように、直線化しにくくなりました。米澤 メーカーは自社の製品を売って利益を上げ、社員に給料を払っていることを理解しなければなりません。メーカー自身も、自社製品の良いところだけを主張するのではなくて、欠点も「こういう使い方をすると危険ですよ」と注意を喚起すると信用性が高まります。そして、実際に先生方に使ってもらって、「なるほど、このメーカーのいっていることは正しいね」と信用が増すと、製品開発や仕入れに苦労した分だけより売れるのではないでしょうか。寺内 私が根管形成するときに、ファイルに関して気をつけているのは「穿孔やレッジ形成しないように」「ファイルが折れないように」という2点しかないんです。それで「こう使うとファイルが折れるよ」とか、たとえばボルテックスブルーなら「押さない限りは絶対に折れないから、そこに気をつけていればだれも折らずに使えます」といってもらうと、みんな「買いたい」という気分になります。デメリットも同時にいうことで欠点も把握できるので、信頼性が増します。そこは、私も聞きたいことでもありますから……。青井 私もインプラントメーカーのインストラクターをしているのですが、最初に「インプラントは何でもくっつきます」というところから入るんです。それをいった上で、そのインプラントの特徴をあげていく。そして今まで経験した成功・失敗をすべて話すように44

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