デンタルアドクロニクル 2013
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中堅歯科医師と業界のトップが語るハイエンドの先生のところに行って、どうやってお手伝いできるかじっくり相談してきてほしいということ。そういった敷居の高い先生方と短い時間でもお話しすることは、過去から未来、充足感から高い目標、日本から世界へと目線を移すために大変重要です。 それにプラス、教えてもらうばかりではなく、先生方ができなかったこと、行けなかったこと、聞きそびれたことがあるのではないか。たとえばEAO、AOに行くと、同時に4つくらいセッションが進行するわけですから、先生おひとりでは全部同時に聞けません。だけど、うちのスタッフが4人いれば手分けして全部を聞けます。その日の夕食や翌日の朝食で情報交換をしますから、先生がお聞きになりたかったエビデンスについて、その日もしくは翌日、あるいは日本に帰ってからもすぐにお伝えできます。米澤 歯科医師だからといって、偉そうに業者の人たちに教えるのではなくて、実は学んでいるんですよね。実 際、営業マンのほうが製品についてはくわしいですよ。何か立場上、歯科医師のほうが偉そうなのですが(笑)。ポジティブ思考で明るくいけば、歯科界はぜんぜん厳しくない!座長 先生方のところは別にして、歯科界は厳しい状況にあるといわれていますが、これにはテレビ・新聞によるインプラントのネガティブキャンペーンという要因もあったでしょう。しかし、歯科界の構造的・制度的な要因があるかと思います。といって、ネガティブな考え方では、ますます負のスパイラルに陥っていきますから、もっと歯科界をポジティブに考えるべきかと思いますが……。寺内 アメリカは、高いものでも良いものであれば売れています。日本では、値段が高い、保険で使えないなどの理由で、良いものが売れないのが現状で、大変疑問があります。保険制度自体がこの一要因になっているような気がするんです。本当は、保険と自費の区別はあまり関係なくて、良いものは患者さんにとってもいいわけなので、そういった治療をキチンと受けられる土壌があるべきです。アメリカでは、高額器材分のコストをチャージする考えをとっています。それはある意味、経済合理性のある考え方だと思います。ですから、根管治療が30万円・40万円になってしまうのですが、自分の歯がインプラントではなくて、天然の歯で残せるならそれはそれでいいという人がいるわけです。 私は、講演などで「自由診療にしたほうがいい」といっていますが、それはメーカーにとっても、患者さんにとっても、私たち歯科医にとってもいいはずなんです。いい加減な自由診療は困りますが、誠心誠意を尽くした自由診療を行えば、患者さんもクオリティの高い治療を受けられ、歯が長持ちするわけですから、みんなにとってもプラスなんですね。そうすれば、自ずとポジティブシンキングになります。青井 それは間違いないことですね。いずれにしても、自分は何が不得手なのか、何が得意なのか。その不得意なものを伸ばしてオプションを増やすことです。それによって、いろいろな目で治療計画が立てられて、たとえばインプラントがなかったとしても、他のオプションがいっぱいあるのでカバーできます。患者さんの立場で、どういう治療なのかを考えていけば、治療と医院経営が両立していきます。 逆にいえば、目先のお金ばかりに走った先生が、痛い目にあっているんだと思って、私は今がチャンスと考えています。米澤 やはり報道があって以来、インプラントのネガティブキャンペーンが続き、しんどい思いをしています。患者さんからは、口を開ければ「インプラントは結構です」と拒否されますので、そこからのスタートなんですね。私は、インプラントをしたいから勧めているんじゃなくて、「ここに1本入れることによって、この口腔内の欠損パターンがどうなる、それによってこんなメリットが……、この隣在歯の命がこれだけ延びる、こんな素晴らしい……」と思って話しても、「いや、インプラントは結構です」ということになってしまいます。インプラントは単なる人工歯根で、フィクスチャーがあったって噛めるわけがありませんね。そうじゃなくて、いかにその機能を再建していくかという補綴治療というコンセプトは貫き通して、沈静化するのを待つしかありませんが、長期戦の覚悟はしています。 歯科界がネガティブというのは、リーマン・ショックなど世界の景気の動向もあると思います。だからといって、ネットで「インプラント1本いくらでします」と安売りするのは、自分だけ勝ち逃げ、やり逃げパターンですね。挙句は、利益を出すために安価なメーカーを使う、メーカーをたたく、ディーラーをたたくでしょう。技工士などのコデンタルもたたくでしょう。そんな自分で自分の業界の首を絞めるようなことをしてはいけないと思うんです。寺内 1年間でパチンコに30兆円使われています。ペット産業は5兆円です。歯科は保険ベースでたったの2兆6,000億円です。それを考えると、自分の健康を担う医療にお金を使う余裕がまだあるはずです。官僚の方々は「医療費で国がつぶれる」といっていますが、医療のパイを増やさなかったら、医療の崩壊につながっていきます。医療は新しい器材・材料がどんどん開発されて、それにメーカーも投資をしているわけですから、当然今年の医療費よりも来年の医療費のほうが上がっていないとおかしいんです。米澤 茂久田さんの収益は、100%患者さんのお支払いから行っていると思うんですね。その窓口収入は私たち46

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