デンタルアドクロニクル 2013
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83(株)松風─2013年誌上シンポジウム「バイオアクティブ機能性歯科材料」を探るストロンチウムイオンSr2+フッ化物イオンF-ケイ酸イオンSiO32-アルミニウムイオンAl3+ホウ酸イオンBO33-ナトリウムイオンNa+図3 S-PRGフィラーの多機能性ガラスコアにはフルオロボロアルミノシリケートガラスが用いられており、マルチイオンの放出が生じる。ppm2,5002,0001,5001,0005000通常のグラスアイオノマーフィラーAlAlNaBBPSiSrFNaPSiSrFS-PRGフィラー図4 通常のグラスアイオノマーフィラーとS-PRGフィラーからのイオン溶出性の比較。吸光度 (OD550)培養時間 (h)S. sanguinisS. oralis2.01.51.00.5004812162024control1μg/mL10μg/mL50μg/mL2.01.51.00.5004812162024control1μg/mL10μg/mL50μg/mL図5 S-PRGフィラー存在下での細菌増殖。吸光度を指標に増殖を経時的にモニター。50μg/mLのS-PRGフィラー添加群では、S. sanguinis、S. oralisともに増殖の抑制が認められる(文献2より改変引用)。 ホウ酸イオンの溶出と S-PRGフィラーの抗菌性 S-PRGフィラーから溶出するイオンのうち、とくに注目すべきはホウ酸イオン(BO33-)である。ホウ酸は、細胞壁を通過して菌体内に侵入し、エネルギー代謝を阻害することで抗菌性を示すとされており、古くから点眼薬や含嗽剤に防腐目的で配合されてきた。したがって、高濃度のホウ酸の溶出が生じるS-PRGフィラーには抗菌性の発現が期待できる。 S-PRGフィラーを添加した液体培地中でStreptococcus sanguinisまたはS. oralisを培養した田村らの実験では、50μg/mLのS-PRGフィラーの存在下でこれらの細菌に対する増殖抑制効果が認められている(図5)2。ホウ酸にはクロルヘキシジンや第四アンモニウム塩ほどの抗菌力はないため、強い抗菌作用とまではいかないが、S-PRGフィラーが口腔連鎖球菌の増殖を抑制するレベルの抗菌性をもっていることは明らかである。 S-PRGフィラー配合修復材の 細菌に対する抑制作用 S-PRGフィラーを修復材に配合した場合、フィラー単体と比較すればイオン溶出濃度は低くなる(表2)1が、それでも修復物の表面近傍では細菌に対する阻害効果が現れる可能性がある。筆者らAlBNaSiSrF-861,98949852319201表1 S-PRGフィラーからの各成分の溶出(ppm)。Al、B、Na、Si、SrについてはICP発光分光分析法により元素として検出、F-はフッ素電極を用いて測定(文献1より引用)。

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