デンタルアドクロニクル 2013
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85(株)松風─2013年誌上シンポジウム「バイオアクティブ機能性歯科材料」を探るによる酸産生を調べたところ、グルコースの代謝によって生じるpH低下が明瞭に抑制されることがわかった(図10)4。この結果には、Sr2+等のイオンによる酸の緩衝作用も関与している可能性があり、必ずしも細菌に対する阻害だけを表すものではないかもしれない。しかし、ホウ酸イオンが溶出し、また溶出F-の濃度も通常のグラスアイオノマーフィラーより高いS-PRGフィラーを配合した修復材では、その表面でグラスアイオノマーセメント以上の細菌の代謝抑制効果が発揮されることは十分に考えられる。 S-PRGフィラー配合修復材の プラーク付着抑制効果 細菌の増殖や代謝活性に対する作用に関してはまだ多くのことが明らかになっているとはいえないが、S-PRGフィラー配合修復材に細菌やプラークが付着しにくいことについては、すでに実際のヒト口腔内での研究によって確認されている。たとえば、井殿らは、硬化したS-PRGフィラー配合歯面コート材を上顎第一大臼歯頬側面に8時間装着する実験で、他の市販歯面コート用レジンよりも明らかにプラークの付着が少ないことを示している5。また、S-PRGフィラーを配合したコンポジットレジンについても、表面でのプラークの形成が局在的で、成熟したプラークの付着はみられないことが報告されている(図11、12)6。 一方、廣瀬らのin vivoでの研究6によると、S-PRGフィラー配合コンポジットレジン表面には口腔連鎖球菌のうちS. mitisが優勢に付着するのに対し、S-PRGフィラー非配合のコンポジットレジンではS. sanguinisが多い傾向にある。また、S-PRGフィラーを配合したコンポジットレジンと非配合のコンポジットレジンでは、表面に吸着する唾液タンパクのプロファイルにも違いがあることが報告されている2。これらの事実は、S-PRGフィラーからのイオン溶出によって表面への吸着タンパクの組成等に変化がもたらされ、その結果として細菌付着に影響が生じている可能性を示している。このように、S-PRGフィラー配合修復材表面では、細菌の活性に対する直接的な作用と、細菌の付着阻害に働く間接的作用が挨まってプラークの形成・成熟が抑制されているものと考えられる。図10 PRGバリアコート上でのS. mutansによる酸産生抑制。コントロール(PMMAレジン)と比較して明らかにpH低下が抑えられている。★76.565.554.54051015202530354045505560657075808590コントロールPRGバリアコートpH図11、12 口腔内でコンポジットレジン上に形成されたプラークの断面図(24時間経過後)。S-PRGフィラー配合コンポジットレジンでは明らかにプラークの成熟が阻害されている(朝日大学より提供)。S-PRGフィラー配合コンポジットレジンプラークコントロールコンポジットレジンプラーク図11図12

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