デンタルアドクロニクル 2013
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86バイオアクティブ機能性材料としてのS-PRGフィラー:その抗菌効果について その他の口腔細菌に対する抗菌効果 S-PRGフィラーには、う蝕関連細菌以外の口腔細菌に対しても抑制作用のあることがいくつか報告されている。たとえば、S-PRGフィラーからの溶出液が、歯周病関連細菌であるPorphyromonas gingivalisのプロテアーゼ(gelatinase)活性に対して抑制効果を示すことや、P. gingivalisとFusobacterium nucleatumの共凝集を抑制することなどが明らかにされており(図13、14)7、歯磨剤や洗口剤などにもS-PRGフィラーが使用できる可能性が示唆されている。また、S-PRGフィラーを配合した試作の根管充填シーラーを用いた実験で、感染根管関連細菌であるPropionibacterium acnesやActinomyces israeliiに対してS-PRGフィラーが抑制作用を示すことが確認されている8。 おわりに 以上のように、S-PRGフィラーは、感染制御に役立つ“バイオアクティブ”な材料としてのポテンシャルが高い素材であり、今後さらに研究が進み、幅広い用途で臨床応用が拡がることが期待される。参考文献1. Ito S,Iijima M,Hashimoto M,Tsukamoto N,Mizoguchi I,Saito T.Effects of surface pre-reacted glass-ionomer fillers on mineral induction by phosphoprotein.J Dent 2011;39(1):72-79.2. 田村大輔,作誠太郎,山本宏治,堀田正人.S-PRGフィラー含有コンポジットレジンに吸着する唾液タンパク.日歯保存誌 2010;53(2):191-206.3. Nakajo K,Imazato S,Takahashi Y,Kiba W,Ebisu S,Takahashi N.Fluoride released from glass-ionomer cement is responsible to inhibit the acid production of caries-related oral streptococci.Dent Mater 2009;25(6):703-708.4. Ma S,Imazato S,Chen J-H,Mayanagi G,Takahashi N,Ishimoto T,Nakano T.Effects of a coating resin containing S-PRG filler to prevent demineralization of root surfaces.Dent Mater J 2012;31(6):909-915.5. 井殿秦造,作誠太郎,山本宏治.酸反応性フッ素含有ガラスフィラーの歯面コート材への応用.日歯保存誌 2009;52(3):237-247.6. 廣瀬雅之,作誠太郎,山本宏治.S-PRGレジン表面に形成されるフィルム様構造の分析.日歯保存誌 2006;49(2):309-319.7. Yoneda M,Suzuki N,Masuo Y,Fujimoto A,Iha K,Yamada K,Iwamoto T,Hirofuji T.Effect of S-PRG eluate on biofilm formation and enzyme activity of oral bacteria.Int J Dent 2012:814913.8. 韓臨麟,竹中彰治,興地隆史.試作S-PRGフィラー含有根管充填用シーラーに関する研究.日歯保存誌 2007;50(6):713-720.図13、14 S-PRGフィラー24時間溶出液によるP. gingivalisとF. nucleatumの凝集抑制。50%以上の濃度の溶出液の存在下では凝集が阻害されている(文献7より引用)。S-PRGフィラー溶出液濃度(%)0 10 50 100 凝集+ ± - - 30分後図13図14

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