デンタルアドクロニクル 2013
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88CaCaCaCaPO4PO4PO4PO4PO4PO4PO4CaCaCaCaPO4PO4CaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaOHOHPO4PO4CaCaOHOHPO4CaCaCa図2 ハイドロキシアパタイトの断面模式図。6角形の格子の中央にOH基が存在する。この部分がフッ素イオンと置換しうる。図3 エナメル質の構成分子のイオン置換。イオン置換により、より安定した結晶形成が期待できる。図4 各結晶分子の酸に対する溶解性の指数(溶解度積恒数の比較)。ハイドロキシアパタイトがフルオロアパタイトになることで、少なくとも102倍以上、酸に溶解しにくくなる。ストロンチウムへの置換により、さらなる耐酸性が期待できる。がうかがえる。エナメル質の無機質の組成は、エナメル質の乾燥重量あたりで、カルシウム(Ca)が36%、リン(P)が17.7%、炭酸(CO3)が2.5%、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、塩素(Cl)が0.3~0.5%の範囲内で存在する。また微量元素として、カリウム(K)、フッ素(F)、硫黄(S)、亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、アルミニウム(Al)、ホウ素(Br)などが含まれる。 脊椎動物の骨や歯の無機質の主体はリン酸カルシウムであるが、このリン酸カルシウムは結晶学的にハイドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)を基本とする構造であることが知られている。この構造は、6角形のCaの構造の中央に、OH基が配置することが知られており(図2)、このハイドロキシアパタイトの構造の中で、Ca2+はNa+、Mg2+、K+、Sr2+などと、またOH-がF-、Cl-およびその他の陰イオンと、さらにPO43+はCO32-などとそれぞれ置換する場合がある(図3)。また、生体内のハイドロキシアパタイトの結晶格子は完全な結晶でなく、その中に格子欠損を有するため、その欠損部分において前述のイオンの置換を容易にしていることが予想される。つまりエナメル質は、環境に存在するイオンと置換し、より安定化したエナメル質へ成熟していくことになる。 再石灰化とは エナメル質は、完全なハイドロキシアパタイトの結晶ではなく、その結晶の中にはさまざまな欠損を有する。また、この結晶はう蝕細菌の産生する酸によって溶解されるが、結晶の組成により溶解されやすさが異なる。たとえばOH-を有するものは、F-を有するものよりも溶出しやすいことはよく知られている。したがって、脱灰-石灰化サイクルのなかでは、エナメル質の実質欠損をともなわない状況で口腔内に耐酸性に有利に働くイオンが存在すれば、バイオアクティブ機能性材料としてのS-PRGフィラー:その歯質再石灰化能について溶解度積恒数エナメル質ハイドロキシアパタイト Ca10(PO4)6(OH)2フルオロアパタイト Ca10(PO4)6(F)2カルシウムーストロンチウムアパタイト Ca10Sr4(PO4)6(OH)2:10-105~-115:10-115~-119:10-121~-132:10-131~-133フッ素による置換ストロンチウムによる置換マグネシウムの置換(アイデア)Ca10(PO4)6(OH)2(F-)Ca10(PO4)6(OH)2(Sr2+)Mg3(PO4)2(Ca2+)あるいは(Sr2+) ハイドロキシアパタイトストロンチウムアパタイトハイドロキシアパタイトフルオロアパタイトリン酸マグネシウムリン酸カルシウムあるいはストロンチウム

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