デンタルアドクロニクル 2014
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巻頭特集 106特別座談会司会:今回は特別座談会ということで、3月から発売されるSLActiveⓇインプラントの業界初となる「GCP規制に基づく治癒・荷重期間のプロトコールを定めた治験」についてお話をうかがうことにいたします。 先生方は当然ご存じのことだと思いますが、治験を実施するためのルールとして、治験を行う製造販売業者・病院・医師は、薬事法という法律と、これに基づいて国が定めた医薬品や医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令、グッド・クリニカル・プラクティスという規則を守らなければなりません。この規則は欧米諸国をはじめ国際的に認められているものです。 そこでまず、治癒期間、荷重にかかわる治験を行うにあたり、何か特別なお考えが両先生におありでしたら、ひと言お答えいただきたいと思います。塩田:いわゆるGCPをクリアしたインプラント、それに基づいて治験を行ったインプラントは、従来からあったわけですが、荷重期間に関してプロトコールを定めて行った治験は初めてということで、画期的なことだと考えています。 なぜ治癒期間あるいは荷重期間が問題かというと、患者さんが一刻も早く機能を回復する、あるいは審美性を回復することは、私たちも望んでいるし、患者さんも望んでいることだからです。それが、治験を行うことによって、わが国においても実現可能になるということで、非常に望ましいことであったのではないかと考えています。矢島:私は、この治験をやるにあたって楽しみといいますか、このデータが出ることに対して期待したことの一つは、この治験はランダマイズドし、コントロールして、さらにマルチセンターで行うという3つが揃った点です。今まで日本でこのようなインプラントの治験はなかったわけです。ここに今回の大きな意味があると思ったのです。 SLActiveⓇは、SLAⓇよりも骨芽細胞の初期接着が高く、アルカリフォスファターゼ活性、オステオカルシンという骨形成マーカーの多いことは実験で明らかになっています。 しかし、世界的にもヒトを対象とした臨床試験で、初期の骨反応がいいという確固たる臨床的なエビデンスはまだ少ないわけです(図1)。 それを今回は非劣性試験という形ですが、「早期に荷重をかけてもSLActiveⓇは通常荷重のSLAⓇと変わらない」という結果が出たとするならば、これは世界的にも大きな臨床的成果になると期待しました。また、日本人の顎骨で行うということも、大きな意味があると思いました。司会:今回の治験は、具体的にどのように実施されたのですか。塩田:もともとは、SLActiveⓇを日本に導入したいというストローマン社の意向があって、PMDAとの協議の結果、治験を行うことになったものです。この治験そのものは2009年6月からプロジェクトが始まり、多施設での研究になりました。 矢島先生・関根先生のおられる東京歯科大学の千葉病院と水道橋病院、そして私と春日井昇平教授のいる東京医科歯科大学の3つの施設で行ってきたわけです。実際のSLActiveⓇを使った治験は、2010年12月から2012年8月まで、総勢80名の患者さんを対象にして行っております。 患者さんにインプラントの埋入をさせていただいてから1年後の結果を見る、そこまでの期間があります。それに遡って患者さんを選択する、あるいは検査を行うことも加わってきますので、約2年間を要したわけです。司会:ヨーロッパでは2005年くらいから使用されていますから、日本では、ほぼ8年のアドバンテージがあることになりますね。もちろん、日本でも申請してきたが、認可がなかなか下りなかったんだと思います。これはちょっと時間がかかっているなという気がするのですが、何かそれには理由があるのでしょうか。塩田:海外での認可は、治験と呼ばれるような試験を経て、そのデータをまとめて提出する必要はないんです。今回は日本での治験によるデータをまとめて提出することが求められたので、上市が遅れたようです。 もう一つは、座談会のタイトルにもありますように、治癒・荷重期間が申請内容に含まれているインプラントであるということです。それを謳うためには、それを実証する治験を行わなければいけなかったわけです。司会:そうですね。日本で発売されているものが、すべて治験を行ったとは聞い図1 親水性および疎水性インプラントサーフェイスでのヒトにおける早期オッセオインテグレーション。骨接触率は14日後にSLActiveⓇの方が高くなり28日後には有意に高くなった。Lang NP, Salvi GE, Huynh-Ba G, Ivanovski S, Donos N, Bosshardt DD.Early osseointegration to hydrophilic and hydrophobic implant surfaces in humans.Clin Oral Implants Res. 2011 ;22(4):349-356.

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