デンタルアドクロニクル 2014
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巻頭特集 108特別座談会がなぜいいか」といったことを、より読者にわかりやすく説明していただけますか。矢島:まず、親水性は何によって決まるのかですが、チタンの表面エネルギーが水のエネルギーよりも大きい時は濡れ性は大きくなって親水性表面となります。つまり、インプラント表面の汚染物質が除去あるいは製造時のままで保たれていれば、チタン表面エネルギーが水のそれよりも大きくなり、水分子が内側に引き込まれる力が生じ親水性になります。疎水性表面には体液中の細胞接着阻害因子(アルブミン)が吸着してしまいますが、親水性表面には細胞接着因子(フィブロネクチン)が優先的に吸着するため、多くの骨芽細胞が集まり、初期の骨反応は著しく亢進することになるわけです(図5)。司会:そうすると、治療期間も短縮されるのでしょうか。治療期間の短縮は、インプラントにとっては絶大なメリットだと思います。ですから、1回法、2回法とか、即時埋入とかいろいろな方法がありますが、このシステムで治療期間が短縮されることによる患者のメリットは非常に大であると思います。そのあたりについて、1ヵ月後に荷重したらいいのか、あるいは3週間でいいのかは、患者さんによっても違うと思いますが……。塩田:インプラントでの治療期間をいかに短くできるのかというのが、まさにこの治験の目的でもあったわけです。それは十分可能です。この治験では、いわゆる早期荷重と通常荷重で、インプラントの周囲の骨のレベルを比べているのですが、SLActiveⓇは早期荷重であっても通常荷重であっても、骨のレベルはほとんど差がありませんし、インプラントの残存率にも差はありません。 患者さんは、時間がかかる治療とかからない治療のどちらを望まれるかというと、これは患者さんに聞くまでもなく、時間のかからない治療を望まれますから、患者さんの希望に即した治療が可能なってきたといえます。司会:実験レベルではそういえるでしょうが、実際に先生方の臨床の治療の中でも、同じことがいえるのでしょうか。塩田:今回はいわゆる治験ですので、あまり問題がない患者さんというか、条件の整った患者さんに対してインプラントをしています。そういう意味では、インプラント埋入してから3週とか4週とかくらいの非常に早い時期に荷重を加えても、SLActiveⓇを用いた患者さんの場合は問題ないことがわかっています。 ただ、患者さんは顎骨の状態もいろいろ違いますし、健康状態も違いますし、咬合状態なども違います。そのような患者さんに、すべて同じスパンでの早期荷重を行っていいかというと、それはまた十分考えて行わなければいけないでしょう。ただ、そういう患者さんでも、従来のものと比べた場合、荷重は早くできる、あるいは安心してできることになってくるかと思います。司会:患者さんは多様ですから、そのために診断というものがあるわけで、それを踏まえた上でのご発言だと思います。いずれにせよ、従来のものよりも期間が早く荷重をかけることができることは間違いないようですね。矢島:塩田先生のおっしゃったとおりで、われわれが学生に授業で教えるとき、義歯やブリッジに比べて、インプラントの欠点は何かというと、高価であることと同時に、治療期間が長くかかるこ図5 インプラントの保存状態における分子や細胞間相互作用の影響。SLActiveⓇはSLAⓇおよび機械研磨の表面に比べ有意に高いフィブロネクチンの吸着を示している。Rupp F, Scheideler L, Olshanska N, de Wild M, Wieland M, Geis-Gerstorfer J. Enhancing surface free energy and hydrophilicity through chemical modification of microstructured titanium implant surfaces. J Biomed Mater Res A. 2006 ;76(2):323-334.®®

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