デンタルアドクロニクル 2014
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11 私の歩み ―好評書籍の著者が語る“学びの軌跡”― 巻頭特集1の持続』を生み、勉強を続けることの原動力になっています。 また『人との繋がり』が勉強を続ける強い動機づけになっています。いろいろなことを惜しげもなく教えてくれた先輩方はもちろんのこと、同僚、友人、後輩、家族、そして患者さんとの交流も、学ぶための大きな原動力の1つといえます。 特に妻との出会いは、私の学ぶ方向性を決定づける最大の要因でした。私は妻と一緒に診療しており、帰宅してもともに過ごす時間が長く、時にはけんかもしますが、不思議なことに結婚生活は長続きしています。診療室では私が形態(矯正)を、妻が機能(MFT)を担当するという分業が成立しており、それぞれ違う観点から患者を診ることができます。ゆえに私と妻とはライバルではなく協力関係にあるといえ、この無二の戦友の存在こそが、この分野に関する勉強を長く続けることにつながっています。 私たちの共通の師匠であるジックフーズ先生ご夫妻からは、MFTの知識や技術のみならず、患者さんと楽しく接する姿勢や夫婦のあり方をも含む人間性の豊かさを学びました。私たちにIAOM(国際口腔顔面筋機能学会)の認定試験を受けることを勧めてくださったのも彼らであり、努力の末、認定資格(Certifi ed Orofacial Myologist)を夫婦揃って取得することができました。この試験は筆記問題と実地審査を含む難しいもので、非英語圏にいる私たちには到底受かるはずのないものと当初は思えました。この試験のための勉強は厳しく根気のいるものでしたが、MFTに関する知識を系統的に整理することにつながり、上梓した書籍の執筆にも大いに役立ちました。■ 私たちの書籍を紹介します! この書籍の前身である『口腔筋機能療法の実際』(1991年刊)の改訂版執筆の提案をいただいてから、完成まで約10年という思いのほか長い歳月を要しました。その理由の1つとして、時代の流れとともに急激に変化する人の行動や習慣に対応するために、MFTの指導内容に新たに付け加えるべき事柄が増えていったことが挙げられます。特に近年急速に普及したパソコンや携帯電話などの電子機器の使用は、全身の姿勢とともに口腔周囲筋の安静位(姿勢位)にも影響を与えていると感じます。ある程度の熟成期間を経たため、試行錯誤で苦闘していた事柄をより明確な結果として示すことができるようになり、長期経過を含む症例報告もよりまとまった形にすることができたと思います。 本書の上巻はMFTの基本情報および症例報告を、下巻は指導の実際のノウハウを主な内容としています。かなりボリュームのあるものになりましたが、努めて平易に書いたつもりです。上巻には説明図や症例写真を多数掲載しましたので、患者さんへのカウンセリング用の資料としても使えます。下巻には現時点での私たちの技術がすべて書いてありますので、指導の現場の傍らに常備していただければ幸いです。 MFTの本来の目的である『歯列にかかる筋圧の適正化』は、矯正歯科のみならず歯科全般において『歯列の長期安定性』を得るための効果的な戦力になることと思います。本書が皆様のお役に立てれば幸いです。My Learning Curve ̶これまでの歯科医師人生の道のり̶10点5点0点1980年1977年0.512.5456788.51986年1988年1991年1996年2000年2008年2012年左からジックフーズ先生、高橋未哉子(旧姓上條)、バレット先生(1985年IAOM大会:アトランタにて)新版 口腔筋機能療法 MFTの実際(上・下巻)を上梓。日本矯正歯科学会専門医試験に合格。高橋矯正歯科クリニック(世田谷区)を開設。IAOM(国際口腔顔面筋機能学会)認定資格(Certifi ed Orofacial Myologist)を取得。日本矯正歯科学会認定医試験に合格。米国の口腔筋機能療法士であるバレット先生、ジックフーズ先生の下でMFTを学んだ上條未哉子と結婚。矯正とMFTの併用症例を多数経験する中で、形態と機能の密接な関係を学んだ。日本大学松戸歯学部付属病院矯正歯科にて先輩の指導の下、矯正歯科患者を担当するとともに、舌癖を持つ患者へのMFTの指導に自ら熱心に取り組み、臨床の大変さとおもしろさを味わった。日本大学松戸歯学部に進学し歯科医学全般を学んだ。在学中に患者として口腔筋機能療法(MFT)の指導を受ける機会を得た。高校1年生より患者として矯正歯科治療を受け、矯正歯科の専門医を目指したくなった。

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