デンタルアドクロニクル 2014
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15 私の歩み ―好評書籍の著者が語る“学びの軌跡”― 巻頭特集1の中にはこのような素晴らしいアイデアや発想を持った人物がいるのか」と感心し、自分もいつかはこのような再生療法に取り組んでみたいとの念を強くした。その後30代に突入した私は開業すると同時に、歯周治療へと傾倒した。 開業後の私の関心は歯周治療に加えて審美歯科治療にあった。先輩であり師である元永三先生の影響もあり、日本審美歯科協会に入会するために勉強することになったのもこの頃である。当時の審美歯科はまさに「今から」といった感じで将来性が期待された。この当時の私にとって最高のテキストはGe-rard Chicheの『シーシェの審美補綴』とClaude Rufenachtの『ファンダメンタルズ・オブ・エステティックス』(ともに小社刊)であった。両著は審美歯科の名著で、驚いたことに現在読み直しても十分に役立つ内容である。これらの書籍から黄金比をはじめとした歯科審美の基本的なルールを学ぶことができた。また、現在では日常的となった審美的なポンティックのための歯周形成外科をはじめとしたさまざまなアプローチ法を学ぶことができた。 基本的に歯学書籍はハウツー本ではない。基本的な考えや概念を学ぶものである。技術はセミナーで学べといわれるが、それはある意味真理だが、多くのセミナーを受け続ける人に大成する人は少ないともいわれる。これらの知識を整理し自分のものとしたうえで、臨床応用した結果を検証し、考察と改良を加えてゆくことが大切なのだろう。雑誌や書籍の多くは大切なノウハウやレシピが書かれていない。読者として臨床写真を注意深く見て、その背景や術前後の細かい差異を読み取ることがおもしろいのである。 40代を迎えてますます忙しくなる私にとっての課題は短時間で集中的に学ぶことであった。その点で時に書籍を短時間で読むことは訓練になる。東京からの帰りの飛行機内での1時間半でこの1冊を読むと決めて目を通す。そしてこの書籍から何が得られたかを3つ挙げる、といったように練習する。テーマごとにフォルダをつくり、何かあればその中に入れておく。発表や講演の直前にそれを開いてまとめる。外科処置を含めた臨床の記録を小まめにとり、結果から考察し、次の臨床につなげる、など私は心がけている。 40代を過ぎると臨床の背景にある基礎を学びたくなった。すぐに臨床結果につながらないかもしれないが、好奇心をかきたてられるとともに、自身の臨床のヒントを得ることができる。最近の研究結果に基づいた知識と臨床をつなげるような書籍がとてもおもしろい。天野敦雄氏の監修の『ビジュアル 歯周病を科学する』(小社刊)はその代表例で何度も見返したくなる1冊であった。 現在、私自身は九州臨床再生歯科研究会に所属して10年以上が過ぎた。この会は、大学の研究者・教育者と開業医のコラボによる珍しいスタディグループである。臨床医は基礎の知識を学びたいと望んでいるが、逆に大学の先生にとってはわれわれの臨床は研究のヒントになるようだ。この会では3年間のカリキュラムを組み、大学人と臨床家のコンビで講義を行っている。その内容を『基礎から臨床がわかる再生歯科』として出すことができたのでぜひご覧いただきたい。My Learning Curve ̶これまでの歯科医師人生の道のり̶10点5点0点1985年1992年2013年2000年代後半1990年代後半1985年九州大学歯学部卒業。この頃の勤務医時代にDr. Lindheの『臨床歯周病学』に出会った。当時の私にそれは衝撃的で、時間を忘れて何度も読み返した。とくに感動したのはMelcherの仮説と、これをもとにした遮断膜を応用した歯周組織再生療法の開発の経緯であった。1992年水上歯科クリニック開業。Dr. Chicheの『シーシェの審美補綴』とDr. Rufenachtの『ファンダメンタルズ・オブ・エステティックス』は審美歯科の名著で、驚いたことに現在読み直しても十分に役立つ。これらの本から黄金比をはじめとした歯科審美の基本的なルールを学ぶことができた。1990年代後半、『AAP歯周治療法のコンセンサス』(小社刊、1992)やEgelberg Jの『Periodontics』(Mosby、1992)など、膨大な文献により構成された書籍が座右の書に。自身の臨床や現在の術式と照合して考えるヒントにした。2000年代前半、Trowbridge Hの『やさしい炎症論』(小社刊、1990)など臨床の理解に役立つ基礎が書かれた書籍に関心が強まる。後の九州臨床再生歯科研究会につながり、その会員レクチャーは非常にためになった。2013年『基礎から臨床がわかる再生歯科』を刊行。大学の研究者・教育者と開業医・臨床家のコラボによるスタディグループ九州臨床再生歯科研究会の3年間の内容をまとめることができた。

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