デンタルアドクロニクル 2014
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16巻頭特集1 私の歩み ―好評書籍の著者が語る“学びの軌跡”―■ 開口困難が生んだ臨床のこだわり 2013年度の『新聞QUINT』の新年の一言に、「紺屋の白袴。今年は患者の立場から多くを学びたい。主治医募集中」と書いたが、いまだ募集継続中である。開口量30ミリ程度から右関節部がジャリという音を立て、顎が右に偏位する。また、数分開口しているだけで強い疲労感を覚える。この症状、なんと約40年間続いている。さらに現在、歯冠破損や隣接面う蝕など要治療歯が4か所あり、毎食後の食物残渣の除去が欠かせない。幸いう蝕は慢性化し歯髄も年齢とともに退行変性を起こしているから、これといった症状は発現せずに済んでおり、食片圧入だけが気になる状態にある。 問題は誰に診てもらうか、である。知り合いにはとてもこの口腔内は診せられない。大学同期の妻は、卒後は矯正治療にしか携わっておらず、しかも学生の相互実習の際に浸麻針を骨膜上に引きずられた思い出がある。研修医の娘に診てもらうのは、親子間にヒビが入りそうで怖い。結論としては現状維持しかないか。 もっともこの開口困難を伴うことが、治療時の開口時間の短縮に人一倍こだわることにつながったのかもしれない。大学5年時に学校と同じ環境を自宅に備え、短時間で正確に支台歯形成や根管形成ができるようにと練習を積んだのも、元来ストイックな性格にこの開口困難が加わったことが大きいと思われる。■ 出会いと学びが私を創った 大学卒業後、仙台市内の開業医に勤務している時に『私たちの臨床』(横浜歯科臨床座談会編)という書籍に出会った。こだわりを持って創意工夫し、その知識や技術を発展させる臨床の奥深さに驚くと同時に魅了され、「これは一生続けるに値するすばらしい仕事だ」と直感した記憶が今でも鮮明に蘇る。同時に、口腔内の状況や変化をルーティーンに写真に記録することが大事であることにも気づかされた。また、横浜歯科臨床座談会の代表であった故・丸森賢二先生のオフィスを見学する機会に恵まれ、あらためて自分の医療に対する意識の低さに愕然とし、焦りを覚えた。「当医院はすべての患者さんの口腔内写真を撮影して、誰にでも見てもらえる治療を常に心がけている」「臨床は掛け算である。予防、エンド、ペリオ、修復、外科、何か1つでも0点があればすべてが台無しになる。すべてをバランスよく勉強しなさい」「自分の信念をもって一生懸命に治療していると、自然と患者さんの入れ替え現象が起こり、自分が診るべき患者さんが増え、結果として自分の治療スタイルができあがってくる」これらはいずれも見学時に山影俊一(やまかげ・しゅんいち)1982年、東北大学歯学部卒業。仙台市内の開業医に勤務後、1985年、仙台市にてはぎの歯科・矯正歯科開業。現在、日本補綴歯科学会、日本口腔インプラント学会、日本顎咬合学会など所属。2013年6月、『「補綴力」を高める̶今日から活かせるインテリジェンスとテクニック̶』を上梓(執筆協力・山口周行)。『「補綴力」を高める』の著者山影俊一 「補綴力」を高める今日から活かせるインテリジェンスとテクニック●山影俊一:著●248頁 ●A4判●定価:11,550円(本体11,000円・税5%)

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