デンタルアドクロニクル 2014
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19編集部が注目! 2014年 今、この人が熱い! 巻頭特集2 学術レベルも高く、生粋のホームデンティストである歯科医師、泉英之氏は言う。「これまでのさまざまな機会や素晴らしい出会いのなかでも、私の歯科医師人生でもっとも大きい存在は月星光博先生です。歯科医師人生、いや人生が変わったと言っても過言ではないのです」 一般臨床医になりたてだった頃は、情報の信頼度を吟味せずに、セミナーや講演会で聞いたことをそのまま信じて臨床で実践していた。しかし、その結果は散々足るものであり、患者に大きな迷惑をかけていた。こう真摯に語る姿は、患者に対しても同様なのだろう。 月星氏から学んだことは数え切れないほどあるという。その1つが「知識と技術を大切に」という言葉である。「知識」としては、「客観的で科学的で公平な知識」が重要な点、また「技術」については適切な方法や器具で、早く確実に治すことの重要性を学んだ。誤った知識では病気を治せないし、技術がなければ知識を生かせない。病気を治すには、正しい「知識」と高い「技術」の両方が必要だと臨床で痛感していると熱く語る。 学生時代を振り返ってもらった。 「自慢できる話ではないのですが、学生の頃はほとんどの授業で寝ていました。卒業してから3年間だけ一生懸命勉強して、後は趣味を半分に生きていこうと。今考えると、誤った考え方だったと痛感しています」。意外であった。 卒業後、解剖や生化学、細菌学、理工学の教科書を引っ張り出しては、「あのとき、もっともっと勉強しておけばよかった」と後悔していたという。そして、3年間だけ勉強するつもりだったが、もちろん歯科はそんなに甘くないと気づく。これまで13年間勉強しても、まだ学ぶことが山のようにある。しかも、時代は刻々と変化し、マテリアルもますます進歩していく。現実は厳しい。2000年の卒業当時は、まさか今の自分がマイクロスコープと歯科用コーンビームCT(CBCT)を日常臨床で使用しているとは、夢にも思わなかったという。だから今から10年後も、現在では想像できない環境で診療しているかもしれない。ただ、今はたった「3年間」ではなく「一生死ぬまで」日々勉強だと思っている。 歯科界は厳しい時代といわれ、「集患」「売上げアップ」などのダイレクトメールが頻繁に届くという。確かに、医院の安定経営なくしては患者に良質な歯科医療を提供できない。現在、医院では、すべての歯内療法にマイクロスコープを用い、Ni-Tiファイルで拡大形成を行い、必要に応じてCBCTで診断を行っている。これはいわゆる保険の範囲内であり、経営的には不採算である。もちろん、医院全体の採算が取れており経営的な問題はないが、このような時代こそ、「自分の頭を差し出し患者の役に立つ」という気持ちを忘れてはならないという。 アンパンマンのように。(笑) 昔、月星先生に、「一流の歯科医師になるにはどうしたらよいですか?」と質問した際、「人間性を磨くことだよ」と言われたという。期待していた答えとは違い、当時はその真意を理解できずにいたが、今は少しわかるような気がすると懐かしそうに語る。師に感謝である。Dr. Hideyuki Izumi泉 英之(いずみ・ひでゆき)2000年、日本大学松戸歯学部卒業後、同年に日本大学松戸歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座入局。その後、2004年より西本歯科医院(滋賀県長浜市)に勤務し、現在に至る。「 一生勉強、だからこそ歯科医療は楽しいし、やりがいがある」編集部が注目!

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