デンタルアドクロニクル 2014
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25編集部が注目! 2014年 今、この人が熱い! 巻頭特集2 第3回クインテッセンス論文奨励賞臨床論文部門・優秀論文賞を受賞した谷口陽一氏。歯周組織再生外科治療において、注水下にEr:YAGレーザー(ErL)を応用し、歯根面および深い骨欠損部の徹底的なデブライドメントを容易かつ効果的に行うとともに、非注水下でErLのデフォーカス照射を用いて移植骨表面に血餅を形成することにより安定的な骨再生を達成したことが高く評価された。 幼い頃から父が院長を務める歯科医院を見て育ったため、歯科医師という職業はもともと身近な存在であったという。父の働く姿を見て、「歯科医師になりたい」と思い、歯学部へ進んだ。 大学の授業で基礎を学び、実習を通じて患者さんに触れるにつれ、おもしろさ・やりがいを感じていったという。 「臨床実習で自分が制作した有床義歯を装着した患者さんに『なんでも噛めてすごく調子がいいです』と喜ばれたとき、本当に嬉しくて、歯科医師を一生の仕事にしようと覚悟を決めたんです」 大学在学中にインプラントの授業が開講されはじめ、その画期的な治療法に惹かれた。しかし、インプラント周囲炎の存在を知り、自分に足りないと感じていた歯周治療を学びたいという思いが強くなったため、あえて歯周病学分野の道へ進むことを決めた。迷ったときには常に自分にとって「未知」の道を選択してきたそうだ。 「新たに学び、未知であったことをクリアにして、学術的に研究を深めていくことももちろん嬉しいのですが、それを臨床に活かして新しい術式として実践するということこそやりがいであり、喜びなんです」 臨床に重きをおき、実践的な研究をしていきたいという谷口氏は、大学に勤務する意味として、「臨床」と「研究」の二本柱に加えて「情報の発信」があると考えている。 「歯科医療は経験知の塊のようなものだと思うので、自分の今までの臨床や研究を通して得たこと、気付き、考えていることを後輩に伝えたり、論文として発表して多くの人に伝えたいです」 新しい術式の研究結果を論文として発表したいと考え、昨年の第3回クインテッセンス論文奨励賞の応募に至った。 この術式をより広く多くの人に伝え、共有するため、英語でも発信したかったという谷口氏は、今回の受賞により論文が海外雑誌に掲載されることを喜ぶとともに、受賞を1つの通過点だと捉えているという。 大学での臨床、研究に加えて診療所のかけもちと忙しい身だが、環境が違っても診療スタイルは変えていない。 「『教科書通り、省略しないこと』を大切にしています。ただし、新たな術式を生み出すには教科書にあるようなエビデンスを超えなければなりません。これまで積み上げられたエビデンスを常に意識し踏まえたうえで、よりよい術式を模索し続けていきたいと思っています」 いずれは開業したいという谷口氏。 「自分が理想とする臨床を、自分の医院でいつか実現したいと思っています」臨床に、研究に全力を傾ける歯科医師の、今後の活躍が楽しみだ。Dr. Yoichi Taniguchi谷口陽一(たにぐち・よういち)2007年、日本歯科大学歯学部卒業後、東京医科歯科大学歯周病学分野入局。2012年に博士号を取得し、現在、東京医科歯科大学歯学部附属病院歯周病外来医員。八重洲南口歯科、東京放送診療所勤務。日本歯周病学会認定医、日本レーザー歯学会認定医、御茶の水EBM臨床研究会所属。昨年、第3回クインテッセンス論文奨励賞臨床論文部門・優秀論文賞を受賞。「 新しい術式をより広く、多くの人に伝え、共有したいと思っています」第3回クインテッセンス論文奨励賞第3回クインテッセンス論文奨励賞 臨床論文部門 優秀論文賞受賞

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