デンタルアドクロニクル 2014
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“学ぶ”“磨く”ためにやるべきこと、やってはいけないこと27 ■ 学ぶとはひとつの方向性を持って知識を増やすこと 先日、あるFMラジオで、大学生を集め、その質問にゲストスピーカーが答えていくという番組をやっていました。ゲストスピーカーは、ジャーナリストの池上彰氏です。 この番組の中で、ある学生が、池上さんにこんな質問をしました。 「大学生のうちに、どんなことを学んでおけばいいのでしょうか?」 この質問を受けた池上さんは、少し考えたあと、会場に集まった他の学生たちに、「皆さんは、どう思いますか?」と尋ねると、ある学生から「何を学ぶのかは、自分で考えることじゃないでしょうか?」という意見が出ました。 池上さんは、同じ番組の中で、お父さんが寝たきりになった後、発売されたばかりの広辞苑第四版(1991年発行)を買ってきてほしいとお願いされた話もしていました。 買ってきた広辞苑を渡すと、池上さんのお父さんは、広辞苑を読み始めたそうなのです。 それまで、辞書はわからない言葉を調べるものだと思っていた池上さんは、それを読みすすめていく父親の姿を見て、その知識を得ることに対する貪欲な姿勢に驚き、生きるということの意味を考えさせられたといいます。 池上さんがおっしゃるように、人生とはすなわち「学び」です。生涯、学び続け、そして成長をしていく――それが、まさに「生きる」ということなのです。 しかし、学ぶということは、単に知識を増やしていくということではありません。理想とする自己像に近づいていくために、必要な知識を蓄えていく。ひとつの方向性を持って、その実現のために、知識を増やしていくことが、学ぶということなのです。 そうした意味で、「真の学び」を実践するには、まず自分が、何者になりたいのかを明確にしておくことが前提条件になります。 人生とはすなわち「時間」です。どんな人間でも、1日は等しく24時間で、生涯には限りがあります。その貴重な時間を、何に投資するのかで、人生の質が決まります。 方向性を持たず、誰かが「良い」といったものを、闇雲に学ぶということは、時間の投資ではなく、時間を浪費することです。そんなムダをしないためにも、何者になろうとしているかを、明確にする必要があるのです。 冒頭の学生は、その点を明確にしていなかった。もっというと、考えていませんでした。 もし考えていたなら、たとえば「私は将来、学校の先生になろうと思っています。学問を教えるだけでなく、生きることに希望を持ち、将来、日本に役立つような、志を持った子供を育てる教育をしていきたいと思っています。そんな教育ができるようになるには、大学生のうちに、何を学べばいいのでしょうか?」といった質問になったはずです。 このような質問なら、池上さんも的確なアドバイスができたことでしょう。 しかし、考えないまま、漠然とした質問をしたので、その質問を受けたとき、池上さんも一瞬、戸惑い、周りの学生に「今の質問を聞いて、皆さんはどう思いますか?」と尋ねるしかなかったのだと思います。 ですから、この学生の質問に、「何を学ぶのかは、自分で考えることじゃないでしょうか?」といった学生は、学ぶことの意味を理解した、非常に的を射た意見(アドバイス)だったといえます。■ 学ぶことは考えることだ 「学ぶ」の語源が、「真似る」であることは、みなさんご存知だと思います。 先人たちが培ってきた英知を真似る。そうすることで、自らの理想の姿を実現していくことが学ぶことです。 ただ真似ると一口にいっても、その方法は2つあります。ひとつは、そのまま無条件に真似ること。もうひとつが、考えた上で真似ることです。東京歯科大学大学院修了。医療法人社団いのうえ歯科医院理事長。歯学博士、経営学博士。島根大学医学部臨床教授、国内外4大学客員講師、日本歯科審美学会評議委員。『自分で奇跡を起こす方法』(2008年9月)他、『30代でやるべきこと、やってはいけないこと』『「学び」を「お金」に変える技術』『悩みを消す技術』『患者様をファンにする最強のコミュニケーション』『図解 ドラッカーに学ぶ歯科医院経営50のヒント』『なぜかうまくいく1%の人だけが実行している45の習慣』など、多くのベストセラーを生む。現在30冊出版(累計90万部)。ISO 9001・14001取得。米国ジョセフ・マーフィー・トラストより世界初のJ・マーフィー・タイトル受賞、第1回TSUTAYAビジネスカレッジ作品人気投票グランプリ獲得。井上 裕之(いのうえ・ひろゆき)

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