デンタルアドクロニクル 2014
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6だ。富野氏は、超高齢社会を迎えたわが国の歯科医療の果たす役割の大きさについてこう説明する。 「これまで、私たち開業歯科医が歯科医療を提供していた対象者の多くは、歯科医院を受診できるほぼ健康な患者さんたちです。もちろんこれまでどおり、生涯にわたって自分の足でかかりつけの歯科医院を受診できるような保健指導や歯科医療を提供していくことは必要です。歯科医院で定期的なメインテナンスを受けることで、国の喫緊の課題である医療費の増加を抑制できるデータも出されています。歯科保険制度の問題については議論していく必要がありますが、ますます注目されるだろう歯科医療の未来はけっして暗くありません」歯と口腔を専門とする健康増進の専門家を目指す 「超高齢社会を迎えた日本において、現在では何らかの疾患を抱えた高齢者が増加していますので、これまでの歯科医院で提供していた歯科医療に加えて、有病者に対するアプローチや医療全体の中で“歯と口腔を専門とする健康増進の専門家”としての歯科医師のあり方が問われてくると考えています」 高齢者をはじめとする国民の健康維持はもとより、医療費適正化を図るうえで他職種との医療連携の必要性を挙げる富野氏。そのためには他職種と連携するための共通言語を理解することが必要だが、大多数の開業歯科医はそのような教育を受けていないのが現状だ。 「やはり、共通言語を理解するための大学教育や歯科医師臨床研修制度を大きく変える必要があるでしょう。その一方で、当会が実施する生涯研修の内容についても、従来の歯科医療技術の習得だけでなく、たとえば全身管理が必要な高齢者や有病者を対象とする領域など、時代の流れとともに、要求されるニーズに対応できるような視点を盛り込んでいかなければならないと思っています」 日歯の生涯研修事業については、学会や歯科関係企業などともコラボレーションした柔軟かつ魅力あるプログラムが必要となるだろう。その一方で約65,000名の会員を擁する日歯の組織率が低下すれば、臨床現場の意見が国の制度に反映されず、最終的には患者さんである国民の不利益につながることについて、富野氏はこう強調する。 「歯科医師会入会のメリットは何ですか?と問われたとき、私は『日本の歯科医療への不満や不具合は個人の力ではなかなか改善できません。組織の力が歯科医師や国民の不満などを解消することは間違いない事実ですので、仲間となりみずからがそのメリットを享受するために国を動かそう』と説明しています」 さらに富野氏は口調を強める。 「きつい言い方をすれば歯科医師会や政治連盟に未加入でも、会員と同様の恩典に浴するのは利益のみを求める利己主義者であり、メリットの主張の影に利己主義を隠しているにすぎません。俗っぽく、かつ少々誇張して言えば、切符を買わずに電車を乗る無賃乗車と同様です。これでは国民のための改革は進まないということを日常的に発言させていただいています」 「会員がともに学びあえる場」としての組織の存在意義を示すためには結果が求められる。医療が国策である以上、歯科医療技術のみならず政治の必要性についても、歯科医療従事者は真剣に考えなければならない時代に突入しているのではないだろうか。日本歯科医師会 平成26年度生涯研修セミナー実施要領1.主催 日本歯科医師会 都道府県歯科医師会2.協賛 日本歯科医学会3.後援 厚生労働省4.対象 日本歯科医師会会員5.開催形式 講演・DVD6.テーマ・講師 テーマ:「健やかに生きるための歯科医療 ~歯をまもる、咬合をまもる~」 講師・個別テーマ(テーマはすべて仮) Aチーム 木ノ本喜史(大阪府開業)/「歯の治療の基本 歯内療法療法~根管治療と根管充填~」内田剛也(神奈川県開業)/「歯の治療の基本 歯周治療の実際~患者さんに応じたアプローチとエンドポイント~」 Bチーム 永田省藏(熊本県開業)/「欠損補綴で診ること考えること~咬合を維持する補綴設計とその決め手~」前田芳信(大阪大学歯学部教授)/「多数歯欠損・無歯顎補綴の目標~機能回復がもたらすもの~」日本歯科医師会 平成26年度生涯研修セミナー実施要領

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