デンタルアドクロニクル 2014
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84ノマー相をフィラーとして組み込むという独自の技術を開発した。この技術はS-PRG (Surface pre-reacted glass ionomer) 技術と名付けられている。このフィラーは、ポリアクリル酸とフッ素を含むガラス粉末の反応により、表面にグラスアイオノマー相が形成され、内部はガラスコアからなる構造となっている(図1)。このフィラーのグラスアイオノマー相からは、フッ素が放出されるだけでなく、フッ素をリチャージさせることも可能である。またフッ素以外のさまざまなイオンが放出される(図2)ことも確認されており、これらのイオンには表1に示すような多様な効果があるとされている。 このS-PRGフィラーを修復材料やその他の歯科用材料に用いることで、これらの材料は材料周囲の口腔内環境や歯質に対して、再石灰化促進作用、抗う蝕作用、抗菌作用などを示すことが期待される。このような材料は、バイオアクティブ材料と定義される。 セルフエッチング技術にS-PRG技術を応用した接着材フルオロボンドⅡ(図3)は、接着界面の象牙質側に、非常に厚いスーパーデンチンが形成されることが確認されており(図4、5)、二次う蝕の予防効果が期待される2。バイオアクティブ材料の予防機能とは田上順次東京医科歯科大学大学院う蝕制御学分野連絡先:〒113-8549 東京都文京区湯島1-5-451980年 東京医科歯科大学卒業同年 同大学歯科保存学第一講座入局現在 東京医科歯科大学大学院・教授基調論文 超高齢社会における 「スーパートゥース」計画 口腔衛生の向上により、若年者のう蝕は減少傾向にある。しかしながら8020運動の推進により、残存歯が増加傾向にあることは、すなわち二次う蝕と根面う蝕のリスクが増大するということでもある。当研究室では、超高齢社会において、自らの歯を一生涯健全に機能させるための方策として、エナメル質や象牙質の化学的・機械的抵抗性を向上させて、抗う蝕性、耐酸性および耐摩耗性を向上させることを試みており、これらの一連の取り組みを「スーパートゥース」計画と位置付けている。 現実的な方法としては、従来から行われているフッ化物塗布による歯質の耐酸性向上、高性能化した接着技術を基盤にした歯面コーティングなどがある。また、セルフエッチングによる接着材と象牙質との界面には酸と塩基に対する抵抗性が向上した象牙質が形成されることが明らかとなっている。この新たな象牙質は本来の象牙質を越えるものとして、“スーパーデンチン”と認知されている1。 最先端のS-PRG技術 松風社ではレジン系の修復材料に、グラスアイオ

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