デンタルアドクロニクル 2015
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巻頭特集1-210けますし、他院との差別化にもなります。̶̶それは素晴らしい取り組みですね。また、このような専用設計でなくとも、工夫できることはありますでしょうか?柏井:そうですね。それは器材の流れ・フローを明確にすることと、ゾーニングの確立ですね。「ここは清潔域」「ここは不潔域」ということを明確にしないと、交差感染を起こすので非常に良くないですね。 私のセミナーでも申し上げるのですが、施設でのゾーニングも大事なのですが、いちばん重要なのは「頭の中でのゾーニング」なのです。「自分は今、汚染されたものを持っている」「これは洗浄が終わっているが、消毒も滅菌もされていない」「これはもう滅菌まで終わった器材だ」、そういう認識を、しかもスタッフ全員がもっておくことが重要です。滅菌装置も正しく使わなければ意味がない!̶̶その滅菌装置ですが、これの正しい使いこなしもたいせつですね。柏井:はい。まずは滅菌対象物が内腔があるものなのかどうか、観血処置に使うものなのかどうか、そしてオートクレーブ対応なのかは確実に理解しておく必要があります。最近ではさまざまな材料の耐熱温度が上がり、オートクレーブ対応なものが増えているのはありがたいことです。また、使い捨てにする器材の価格も下がっていますから、この点も追い風になっているといえます。 そして次に重要なのが、滅菌の効果をインジケーターで確認することです。しかし、これをお使いになっていない場合が非常に多いのです。なぜかというと、皆さん、滅菌器から取り出したものは「滅菌できている」と非常に素直に思われていて、確認をするという習慣がないのです。̶̶たとえばアメリカでは、定期的な性能の確認と記録が求められていますよね。柏井:はい。絶対に滅菌記録を保管しますし、それを代行するオートクレーブの管理業者まであります。滅菌器は魔法の箱ではありませんので、そこから取り出したものが滅菌できているかどうかの確認はユーザーが行うしかありません。実際に、歯科医院でインジケーターでテストしてみますと、びっくりするような結果になることもあります。 また、どうしても機械ですから保守点検が必要なのですが、おろそかになっている場合が多いです。経年的な性能の低下はどの装置でも避けられませんので、それをメーカーのせいにするのは酷な話です。̶̶また、海外で標準となっているガイドラインのようなものはありますでしょうか?柏井:「器械の再生処理 器械の性能を維持する再生処理(邦題)」という、ドイツのArbeitskreis Instrumenten-Aufbereitungというワーキンググループがつくったガイドラインがあり、世界の16ヵ国語に翻訳されています。日本語版は、日本医療機器学会が翻訳しました。歯科の部分は私が翻訳させていただいているのですが、その過程でも日本の現状がいかに世界標準から外れているのかがよく分かりました。写真も多用した、非常にわかりやすく書かれているガイドラインで、各種滅菌装置の原理や適応、そして洗浄・消毒、滅菌の概念から方法まで非常にわかりやすくまとめられています。こういう公的なものが、日本にはないのです。たしかに日本歯科医学会のガイドラインもあるのですが、滅菌器に関しては、詳細が記載されていません。感染管理を行うために欠かせない装置は?̶̶日本国内の諸学会にも、ぜひ充実させていただきたいですね。それでは、感染管理を行うために欠かせない装置についてお聞かせください。柏井:基本的に感染管理に関しては、私はクラスBの滅菌器とウォッシャーディスインフェクター、そしてウォッシャーディスインフェクターの近くに圧縮空気で水分を飛ばすためのエアガンが必要と考えます。最後のエアガンインジケーターの使用前(左)と使用後(右)。オートクレーブの性能を確認するために欠かせない作業だが、おろそかにされている場合も多い。「器械の再生処理 器械の性能を維持する再生処理」。http://www.a-k-i.org/index.php?id=11より各国語版のPDFファイルのダウンロードも可能。

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