デンタルアドクロニクル 2015
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インタビュー:歯科医院の感染管理最前線知っておきたい「禁じ手」と医院設計のヒント11がなぜ必要かというと、ウォッシャーディスインフェクターは、器具を洗浄して最後は熱水で消毒するのですが、その後の乾燥がどうしても不十分になる部分があるのです。水分が残ったままでは滅菌バッグに入れられませんので、そのための対策です。 海外の施設に伺うと、器材処理室にもかならずエアの配管が来ているのですが、日本国内では医院設計の段階でその考えがないので、コンピュータのキーボードのホコリを飛ばすためのスプレーで代用していたりしますが、それではハンドピースの内側の水分を飛ばすことができない場合もあるため、これからの歯科医院にはエアガンは欠かせないと思います。̶̶ほかに、海外の消毒コーナーにはあるけれど、日本にはない装置はありますか?柏井:換気扇ですね。消毒コーナーではグルタルアルデヒド製剤を使いますし、あと滅菌器からは蒸気や熱が出ますので、労働環境を整える意味でも換気扇は非常にたいせつだと思います。 また、こうした器材処理をする部屋に、文書の保管棚がない場合がほとんどですね。海外では、滅菌の履歴や先ほど申し上げたインジケーターをファイリングして保管することになっているため、棚があるのは必然なのですが。そういった習慣が根付いてほしいと思います。 あと、海外の話とは違うのですが、技工室や石膏コーナーと兼用になっているのは問題があります。石膏を扱う場所ではその粉塵が影響しますし、トリマーを使えば水分が飛散します。滅菌物に対して、水の影響は絶対に避けなければなりません。日本の建物事情では水回りから遠ざかるのは難しいのが現実かもしれませんが、それならば衝立を置いてみるとか、あとは先ほどお話した「頭のなかのゾーニング」で、ウォッシャーディスインフェクターの側にエアガンが設置された消毒コーナー。確実な乾燥のためにエアガンは欠かせない。消毒コーナーに設置された文書保管棚。欧米では、消毒・滅菌に関する記録が欠かせないため、こちらも必須となっている。滅菌器の方向に水が跳ねてはいけないことをスタッフ全員が理解することですね。̶̶ここでも、ゾーニングの考え方がたいせつなのですね。この他に、滅菌の禁じ手のようなものはありますか?柏井:こちらも水分の話になるのですが、滅菌バッグに詰めた後も、そこに水滴がかかるようなことは避けなければなりません。紙の部分が濡れますと、バリア性が下がって穴も開きやすくなりますし、いろいろな微生物が再付着しやすい環境になってしまいます。滅菌バッグの保管場所も重要です。 さらに、海外では滅菌バッグに滅菌した日付を書くのが常識です。もちろん、通常のサインペンなどではなく、専用の医療用のペンが売られています。本来は、そういうところまで考慮しないといけないのですが、日付を書いているオフィスも少ないですし、その滅菌物がいつ滅菌されたものなのかがだれにも分からないのが現状で、それこそトレーサビリティがとられていないですね。̶̶このようなことが可能な、余裕のある医院設計が求められますね。柏井:そうですね。ただ、それも工夫によって改善できる面がありまして、例えば滅菌バッグの先入れ先出しを徹底するといったルールを作るなど、いろいろと考えられます。やはり工夫するのが人間の知恵の出しどころなので。̶̶この他に、チェアサイドにあると良い装置はありますでしょうか?柏井:そうですね。チェアサイドでは、口腔外バキュームも活用されると良いですね。ただ、騒音の問題があるので常用は難しいのが事実だと思います。以前よりは少し静かになってきていると思うのですが、作業者よりも患者さんのお耳に近いところで使うので、患者さんは、私たちの何倍もうるさく聞こえていらっしゃると思うんですよ。でも、やはり必要なものなので、本当に必要なときにだけパッと使う。 また最近、ユニットのライトハンドルも外せるものが増えてきているので、新規に購入される場合にはこの点にも注目されると良いかと思います。また、ユニットの操作ボタン周りも清掃しやすいものを選ぶのがおすすめです。 ですが、このように器材や医院設計に頼ることも大事ですが、スタッフが意識をもってきちんと使いこなすことがもっとも重要です。「必要なものを、必要なときに、必要なように使う」というのが感染予防の大原則ですから。̶̶本日はありがとうございました。

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