デンタルアドクロニクル 2015
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巻頭特集1-314死の直前にポツリと「満足だった……」 本田宗一郎が死去したのは1991年です。 その2日前に病院のベッドにいて、すでに歩けなくなっていた彼は、長く連れ添った奥さんに最後のお願いをしました。 「自分を背負って歩いてくれないか?」 病室の中でおぶさりながら、最後にポツリと彼はいいます。 「満足だった……」 人生が終わる瞬間まで行動し続けた経営者の、これが最期の言葉でした。一流の人は、最期まで行動する情熱を持っているのです。 私たち歯科医師も、情熱を持って、最後まで生きるべきではないでしょうか。自分の使命を自分の中から探し出す 20世紀最高の経営学者と呼ばれる、ピーター・F・ドラッカー。その思想は、世界中の経営者に影響を与え、2005年に世を去ってからもなお、多くの信奉者を世に輩出し続けています。 「その研究によって企業経営を変革し、よりよい世界をつくること」が彼の使命だったとすれば、彼が遺した功績は、今も世界各国において、現在進行形で継続しています。 ドラッカーは、どうしてそんな使命を持つようになったのでしょう? それは、彼を取り巻く環境から生まれたものでした。 1909年にウィーンでユダヤ人として生まれた彼は、当然ながらナチスドイツに異を唱えるようになっていきます。大学で学んだ後、イギリスへ渡り、さらにアメリカに渡ったあと、自分が世の中のために何ができるかを考え、出した答えが「企業経営をよくすること」だったといいます。 人びとが自由に働き豊かに暮らすためには、健全な企業が育つことこそ大切だ、と考えたからだと思います。 ドラッカーが自身の紆余曲折の中から自分の使命を見出したように、私たちは誰でも、自身の使命を自分の中から探し出すことができます。 彼が著作で書いた、有名なたとえを紹介しましょう。 「3人の石切工に、あなたがたは何をやっているのですか、と尋ねたところ、1人目は“生活費を稼いでいる”と答え、2人目は“石切工としてはこの国で一番の仕事をしている”と答え、3人目は“大聖堂を建てている”と答えた。もちろん、3人目が真の“マネージャー”である」 3人目の石切工だけが、自分が現在行っている仕事の到達点にある、究極的なゴールを思い描いていたわけで、まさにこれが「使命」です。 では、私たち歯科医師が、今やろうとしている仕事の到達点にあるものは一体何でしょうか? 一流の人たちの生き方を見つめることで、私たち歯科医師が「今」をどう生きたらいいのかが、鮮やかに見えてくのでないでしょうか。歯学博士・経営学博士・メンタルセラピスト・世界初の米国ジョセフ・マーフィー・トラストによるGrand Master of Subconscious受賞・島根大学医学部臨床教授・東京歯科大学非常勤講師・北海道医療大学非常勤講師・インディアナ大学歯学部客員講師・ブカレスト大学医学部客員講師・日本歯科審美学会評議委員・ICOI国際インプラント学会Diplomate。主な著書に『自分で奇跡を起こす方法』『「学び」を「お金」に変える技術』『図解:ドラッカーに学ぶ歯科医院経営50のヒント』『簡単に不安がなくなる50の言葉』『未来を創る生き方』他、著書累計120万部を超える。井上 裕之(いのうえ・ひろゆき)

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