デンタルアドクロニクル 2015
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31 私の歩み ―好評書籍の著者が語る“学びの軌跡”― 巻頭特集2-1き、顎関節と咬合との関連を知ることとなった。 それ以来、自分の総義歯治療の幅はかなり広がったのだが、次にはスーパーストラクチャーのポジション、つまりニュートラルゾーンの検証の必要性が出てきた。そこで、BPS(Bio-functional Prosthetic System,Ivoclar Vivadent)の、Herbert Frick先生とMattheus Boxhoorn先生のプライベートレッスンを受講し、体系的かつ合理的な方法でニュートラルゾーンの考え方に則った総義歯を製作していることを学んだ。この3つの学びで、私自身の総義歯理論はさらに上のステップに進んだ。そして、義歯の印象に関しては、明海大学の先輩で東京都小金井市で開業されている藤井万弘先生のプライベートなセミナーを受講したこともある。この他にも、総義歯を構成するさまざまな要素を学び、組み立てることで今のシステムを確立してきた。■「GDS」とは何か? その後もさまざまな紆余曲折、学びや出会いを経て、昨年ついに「GDS総義歯の真髄」を上梓するに至ったのだが、その内容に移る前に本書のタイトルにも冠されている「GDS」という言葉に耳慣れない読者もおられると思うので、簡単に解説させていただきたい。GDSとは、Global Dental Systemの略称で、1987年に臨床を開始した時から私の頭の中にあったスローガンであり、それを1998年に組織化してスタディグループとしての形を整えたものである。この「GDS」という言葉には、グローバルに、世界から広く知識を取り入れたDental Systemを構築したいという意味が込められている。また、誤解されがちであるが、GDSは決して総義歯だけを取り扱うものではなく、歯科医療全般についてまさにグローバルに学ぶものである。■ 「GDS総義歯の真髄」に込められているもの 本書にはGDSにおける総義歯製作法がすべて込められているが、とくに強調したいのは「教えるだけの教科書」ではなく「製作できるようになる教科書」を作りたかった、ということである。どれだけ理論が解説されていても、実際に製作できなければまさに画餅となるため、製作法についてはステップごとに確実に示した。さらに、それぞれのステップに関連する科学的・経験的な根拠を、コラムとして多数加筆した。 また、筋肉と総義歯、筋肉と咬合の関係性についても詳説した。総義歯の床外形を決定するのはあくまで筋組織の動きであるため、解剖学、その中でも筋学をしっかり学ばないと印象採得すら行えない。本書の冒頭は、ほぼその事項で少し驚かれるかもしれないが、お読みいただくうちにその意図が伝わることだろう。 そしてもちろん、咬合については、無歯顎はもちろん、有歯顎の補綴にも役立つ理論を盛り込んだ。私にもし、卒後1年目からこういう知識がついていたら、もっと早くから総義歯臨床を誇りをもって施術できたに違いない。ぜひお手に取っていただき、折にふれてご愛読いただきたいと思う。そしてこの場を借りて、ここまで支えてくれた先生方とGDSスタッフに心からの感謝を申し上げたい。My Learning Curve ̶これまでの歯科医師人生の道のり̶10点5点0点1987年1989~1992年2014年1996~1998年2002,2007年1987年、明海大学歯学部卒業。1989~1992年、市波治人先生の総義歯コースを受講。総義歯にミューチュアリープロテクティッドオクルージョンを付与することの可能性について学んだ。1996~1998年、佐藤貞雄先生のポストグラデュエートコース「不正咬合の概念とその治療」を受講。顎関節の動きと咬合との関連性について学んだ。2002年と2007年、リヒテンシュタインにてBPSのプライベートコースを受講。ニュートラルゾーンの概念に基づいた、システマチックな総義歯製作法について学んだ。2014年、これまでの集大成として「GDS総義歯の真髄」を上梓。総義歯製作法はもちろん、咬合論まで広く含んだ1冊とした。

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