デンタルアドクロニクル 2015
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32巻頭特集2-2 編集部が注目! 2015年 今、この人が熱い!Dr. Ikuhisa Okuno奥野幾久(おくの・いくひさ)1997年、朝日大学歯学部卒業、2002年、大阪大学大学院歯学研究科大学院修了。2008年より大阪府の医療法人歯研会宮崎歯科勤務後、2012年に医療法人歯研会奥野歯科医院理事長に就任し、現在に至る。大阪大学大学院歯学研究科招聘教員、日本補綴歯科学会専門医、日本口腔インプラント学会認証医、本年6月より、5-D Japanデンチャーコースの講師としての活動もはじまる。「 歯科医師は、医療者である前に一人の人間であり、そして科学者であるとともに技術職である」編集部が注目! 奥野歯科医院に一歩足を踏み入れるとあたたかみを感じる。なぜだろう? 両親・祖父母もみな歯科医師という奥野幾久氏。両親が歯科医療と真摯に向き合う姿を間近で見て育ったから、やりがいのある職業だと感じるまでにさほど時間はかからなかったという。 朝日大学歯学部に進学後は、同級生にも恵まれ充実した学生生活を送ったという。同時に親元を離れたことで、そのありがたみを感じることができた時期でもあった。決して真面目な生徒ではなかったが、医療者になるからには、今より厳しい環境に身をおくべきだと覚悟を決めて大阪へ戻った。 大学卒業後、大阪大学歯学部歯科補綴学第二講座に入局、そこから11年間、教育・研究・臨床の各々の重要性を学ぶこととなる。野首孝祠教授(現名誉教授)、前田芳信教授という補綴分野の二大巨頭のもとで、有床義歯やインプラントについて学べたことが今の礎となった。研究テーマが「無歯顎患者のデンチャースペース」に関するものであったことから、大学院時代は、膨大な数の総義歯患者を担当し、技工操作まですべて行っていた。総義歯臨床にどっぷりと専念できたこの時期は、今思うと何にも代えがたい貴重な経験であったと振り返る。 もともとが開業志向だった氏は、35歳で大学をでて、大阪市の宮崎歯科に勤務。そこで大学での臨床と開業医の治療のギャップに気づかされる。経営に見合った時間とコストが要求される開業医では、大学の臨床をそっくりそのまま適用することはできない。しかし、環境さえ整えることができれば、さまざまな制約が少ない分、患者ニーズに合った質の高い医療を提供できるに違いないと考えたのである。また、過去には先鋭的な治療技術について数多くのセミナーやコースに参加したが、学んだことをすぐに実践できる環境を整えたうえで受講したほうが、より効率的であるとも感じる。なぜなら知識や技術はそれを持ち帰って実践する場がなければ、単に良い話を聞いたで終わってしまい、どんどん風化してしまう。そんな思いから、開業までは、スタッフや設備などさまざまな環境整備に時間を費やした。 40歳で皆から遅れること5年、宮崎歯科を継承するかたちで開業。60年目を迎える老舗医院ということもあり、高齢患者も多く、ここなら自身の専門性と診療スタイルを貫けると確信した。また、誰にでもわかりやすく、アクセスしやすい大阪の中心地である点も大きなポイントであった。大学および開業医で学んだ経験を上手にミックスして今の氏がある。 「歯科医師は医療者である前に一人の人間であり、科学者であるとともに技術職である」というメンターの言葉を胸に、日々の臨床に向かう。その人柄と治療技術は患者の心をとらえて離さない。だから奥野歯科医院はあたたかいのだ。 現在42歳となり、これからは学ぶだけでなく、それを咀嚼し、勘所をわかりやすく後進に伝えたいという。そのためにも記録を残すことが重要だと考え、医院システムが構築されている。また、今年6月より、5-D Japan デンチャーコースの講師としても活動予定であり、いっそう飛躍の年になりそうだ。

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