デンタルアドクロニクル 2015
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34巻頭特集2-2 編集部が注目! 2015年 今、この人が熱い! 長崎リハビリテーション病院(栗原正紀理事長)は、急性期治療によって病態の峠を越えた脳卒中等の患者さんが入院する回復期リハ専門の病院である。同院では、「諦めないで口から食べることへの取り組み」に全職種が力を入れている。その中心的な担い手の1人が、歯科衛生士の大石佳奈さんである。 大石さんは、卒業後すぐに同院に勤務し、一時期一般歯科を経験したあと、再び同院で勤務している。 「私の祖父は脳梗塞で右片麻痺の状態でした。そのため、同じような患者さんに対して自分にできることがあれば貢献したいという思いをずっと持っていました」 同院で勤務することになった大石さんの助けとなったのは、周囲の存在だった。 「先輩歯科衛生士には、患者さんの口腔をどう診て、どのように対応したらよいか教えてもらいました。また、専門用語についてわからなければ、他の職種のスタッフに聞きました。多職種が病棟配属で普段から気軽にコミュニケーションをとれる環境なので、非常にありがたいです」 同院には3病棟に歯科衛生士4名が在籍し、入院している患者さんの口腔管理を担当している。1病棟につき歯科衛生士1名が専属となっており、大石さんはリーダーとして全体を統括している。 「患者さんが入院される日には、全職種が集まって入院時合同評価を行います。そこで、患者さんの口腔内の状態を診て、問題点は何で、どういう対応をしたらよいか他の職種に伝えるのが私の役目です」 歯科衛生士が患者さん全員に毎日かかわれるわけではない。それを補うには、他の職種にも口腔ケアをお願いすることも不可欠だ。ただし、相手も多忙なため、相応の配慮が必要である。 「相手に応じて、お願いする内容やかかわり方を変えています。たとえば、看護師や介護スタッフには限られた時間で可能な口腔ケアの方法を伝え、言語聴覚士にはその専門性を考慮し、患者さんの口腔機能についても伝えるなど工夫しています」 同院は回復期リハ専門ということで、入院している患者さんはいずれ在宅に戻る。だからこそ、患者さんの自立に向けたかかわりが大切だと強調する大石さん。 「歯磨き1つをとっても、患者さんが自分でできるようにならなければ意味がありません。ですので、毎日無理なく続けられるような方法を、患者さんや他の職種のスタッフと一緒に考えています」 また大石さんは、患者さんの自立には口から食べることも不可欠だと話す。 「口から食べることは私たちが生きるうえでの根本です。完全に食べられなくても、少しでも食べられれば全然違います。その実現に向けて、私たち専門職が集まり、各々の専門性を発揮しているのです」 このように、食べるための口づくりには全職種がかかわるが、その核となるのはやはり歯科衛生士である。 「歯科衛生士がいなければ、口腔衛生や食べる機能、義歯の状態を診ることはできません。口腔に関することは私たちに何でも聞いてほしい、そんな自負をもって毎日働いています」 自分の仕事に誇りをもち、他の職種と連携しながら患者さんのために貢献する。大石さんのそんな姿が非常にまぶしかった。Dh. Kana Oishi大石佳奈(おおいし・かな)長崎県出身。九州文化学園歯科衛生士学院卒業後、一般社団法人是真会長崎リハビリテーション病院(長崎県長崎市)で勤務し始め、一般歯科医院での勤務をはさみ、現在に至る。歯科衛生士歴8年目。「 他の職種と連携しながら患者さんの“食べる”を支援する」編集部が注目!

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