デンタルアドクロニクル 2015
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35編集部が注目! 2015年 今、この人が熱い! 巻頭特集2-2Dr. Yukihisa Takahashi「 好奇心が“研究”のアイデアを生み、情熱が“臨床”の結果を残す」編集部が注目!研究者と臨床家の分かれ道 卓越した臨床家のイメージが強い高橋氏だが、実は元々日本歯科大学大学院の解剖学教室におり、大学を卒業した当初は臨床よりも基礎医学への興味が強かった。そもそも歯科大学を志望する前は、ぎりぎりまで日本大学の芸術学部を受ける予定で、高校時代は芸術や自然物理、宇宙などへの興味が強く、結果として歯科大学に入学した後は正直あまり歯科への興味が湧かないまま過ごしていた。 転機となったのは大学5年生で、自然、宇宙、生体、細胞、医学という元々興味があった分野からつながりを見出し、学ぶというよりは興味に突き動かされて勉学に勤しみ、卒後はミクロコスモスを電子顕微鏡下に見たいと言う思いが強くなり解剖学教室に入局。大学院時代は顎下腺の栄養神経である鼓索神経の切除手術を小さなマウスにて行うという、不可能とされてきたことに挑戦し続け、明けても暮れてもマイクロスコープ下での神経切除手術の新たな方法の解明に大学院の3年間を費やす。その研究内容(顎下腺細胞もアポトーシスを起こすこと)をフランス、ニースで開催されたIADRに発表し、その結果が大きな反響を呼んだことが、その後の歯科人生に大きく影響してくることとなる。インプラントとの出会い 大学院卒業後、親友の紹介で日本歯科先端技術研究所の現会長、簗瀬武史先生の門下に入り、インプラントの基礎と臨床について数多くを学ぶ。 インプラントを学び始めて3年目に海外留学に興味をもち、ITIで活躍していた勝山英明先生(神奈川県開業)のマスターコース3期生として受講している最中、日本では初めてとなるITIスカラーシップに合格した。合格の理由に大学院時代の研究内容が影響していたことを後で知ることとなる。世界初の発見だったということを少し大げさに書いたから認められたのかもしれません。晴れて2002年度よりITIスカラーとしてアメリカ コネチカット大学へ留学し、Prof. Thomas D Taylor(当時ITIチェアマン)から補綴学を学んだ。もっとも心に残る言葉は、 “我々医師は一生学び続けるべきであり、科学と医学に対して常に謙虚でなければならない”であった。再度研究、そして商品化へ 「埋入トルクは高いほどいいような風潮が最近あるけど、それってどうなのかな?」、トルク値に対する疑問がどこからか涌き出すと、それに対する疑問は歯止めが効かないほど次々に溢れてきた。そこで、この領域についてはあまりよくわかっていない、つまり、あまり研究がなされていない領域であるということが判明し、我々インプラントロジストが日常的に切っても切れないトルク値が、なぜわからないのかについて考えてみると、医療界の知識だけでは判然とせず、礎となる工業界の知識がなければ解明できないことに気づく。日本を代表する工具メーカー、京都機械工具株式会社(KTC社)と研究・開発の結果、2012年にデジタルトルク制限装置『Newton-1』が誕生し、市販化に至りインプラント業界で話題を呼んでいる。 2015年、常に世界や他業界に目を向けている高橋氏が、“何を求め、発信するか”注目されるところである。高橋恭久(たかはし・ゆきひさ) 2001年、世界中のインプラント専門家をネットワークするITI(International Team for Implantology)から日本人初のスカラーシップに選抜され、2002年、米国コネチカット大学ヘルスセンター補綴科教授で、当時ITIチェアマンであったThomas D Taylor氏に師事。2005年、ITI World SymposiumにてBest Presentation Award受賞。2006年、インプラントを中心とした口腔科学を追及するスタディーグループAOS (Art of Oral Science) Japanを設立し、2008年に最高顧問となる。2011年より医療法人慈世会高橋スマイル歯科を東京都青梅市にて開業。

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