デンタルアドクロニクル 2015
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40 特別対談を考えています。 私がいたイギリスのイーストマン・デンタル・ホスピタルは、生涯学習コースを主にしているところで、世界中から新しい歯科医療技術を学びにくるわけです。受講料は高いですよ。私がいた1980年は、日本円で年額750万円くらいでした。ほとんど国費留学生で世界中からきていました。イギリス国内の人もいるわけです。国内の人の中には、GPで開業して数年でお金を貯めて、今度は小児歯科を学びたいとなると、自分の診療所を売却してそれを学びにくるんですよ。茂久田 もう一度学び直すんですね。住友 専門性を学んでだんだん膨らませたいという人が結構いて、国内にそういう研修機関があるわけです。日本では、免許の更新制度がない分、既成の歯科医師の教育というか、自己学習をどうするかが問題なわけです。そういう研修会は、MOKUDAさんにいうのはちょっと酷だけど、どういうふうに思いますか。MOKUDAさんご自身が、そういう研修施設を持っているかどうかも含めて……。茂久田 150名収容の研修施設を社内に有しており、毎週末に講演会やセミナーを開催しています。講師の先生には「MOKUDAの商品だけを宣伝する場ではありません。これからの人生をかけて歯科に取り組む歯科人に、脚色のない本当の症例だけをお話しいただければ、ありがたいです」とお願いいたしますと、講師の先生はすごく安心されます。 そして講演当日、MOKUDA社内のホールには、講演に登場する他社メーカーがブースを並べて、先生方からの質問と受注を受けられるようになっています。正しい情報提供こそが、信用される歯科治療には欠かせないと考えて、競合社にも開放しています。1つのメーカーだけで、すべての治療をカバーすることはできません。先生方は、各メーカーからお勧めの製品を組み合わせて、すべての治療を行っているのが本当のところですから。 治療が成功に導かれることが住友先生の理想とされる講習会ですから、企業が過剰に宣伝広告を盛り込むと、エビデンスが少なく、経過観察期間も短いケースが増えて、受講者が学びたいと望む、正しいプロトコールが失われることが懸念されます。 ですから、偏りのないスタンスですべてのメーカーと製品が登場するよう、大きな目で、広い心で、本当のセミナー、本当の歯科医療、本当の人生のための医療を伝えようというメーカーや学会が増えてくることが、講師の幸せ、受講生の幸せ、そして治療を受ける患者さんの幸せになると思っています。「超高齢社会」の中だからこそ、医科・歯科連携はより進展する!住友 先ほど「超高齢社会の医療」はよいお題目となると申し上げましたように、歯科医療に対する需要が多いのですが、現状では、需要と供給の関係がアンバランスとなっています。求められていることに対応できる歯科医療従事者の数が少ないこと、医師との間の敷居が高いと感じている歯科医師が多いことが大きな理由です。そのために、まず卒前の歯学教育を見直す必要があります。 歯学教育には、文部科学省も日本歯科医学会に目を向けるべきで、学会には広い範囲の基礎・臨床分野の方々が所属し、臨床には大学人だけでなく、臨床家も加わっています。この人たちが歯科医学教育にかかわると、教育と医療現場の乖離を少なくする効果があると思います。そして、医科・歯科連携に対応するために、卒前教育でとくに重要なのは共通医学言語の教育です。そのためには、歯科の卒前教育で学んでいる内科学を国家試験の出題基準に入れることや、多職種医療関係者と接することができるカリキュラムを組み込む必要があるでしょう。 それには、日本歯科医師会と大学のコラボ、そこに日本歯科医学会がからんでいけば、有効な施策が生まれてきますよ。メーカーや輸入商社も加わればどうでしょうか。 よく人間にとって重要なものは「コミュニケーション」といわれています。コミュニケーションが取れなくなって寝たきりになっているお年寄りも、お話ができるようになると元気が出てきます。食べ物を食べながら、お話ができるレベルに改善できると、寝たきりが減ってきます。構音・発音、そして物を口に入れて咀嚼し、消化器に送る、

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