デンタルアドクロニクル 2015
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41これからの歯科医療領域はどこを目指して進むのか?これすべて「口」なんです。 日本の歯科医学・医療の広さの範囲からみて、海外の歯科領域の機器・材料だけではなく、医科の製品も取り扱いの視野に入れておく必要がありますね。デンタルショーだけでなく、医科のメディカルショーのようなところにも、見て回っているんですか。茂久田 東京ではお台場のビッグサイト、大阪ではインテックスを主会場とする、医科の試験用器具、工学器具、金属切削のCAD/CAM設備や3Dプリンター、生体用新素材展をはじめ、できるだけ他業界の、しかも歯科医療へ影響を及ぼしそうな展示会へは、こまめに参加して、高齢者歯科へも応用できる方法をいつも模索しています。 札幌の西円山病院を筆頭に、歯科部門が充実しているターミナルケアの大型病院を見学し、強く感じたことがあります。 超高齢社会の日本において、平均寿命は82歳まで延びましたが、健康寿命は72歳に留まっていて、人生最後の10年間は寝たきりとか、五体満足で過ごすことができない現実を直視しました。 ここに加えて「8020運動」が成功したので、昔の高齢者よりも歯がたくさん残っているのに、体は自由に動かずメインテナンスできない10年間を過ごすために、お口の状態がますます悪化していることに衝撃を受けました。 ここに至ると、歯科が生命の維持に直結して関心をひき、医科とも緊密に連携しますので、歯科の重要性と専門性が、国民のみなさまへ直接的にアピールできるのではないでしょうか。歯科医師であると同時にレベルの高い「道楽」を持ってほしい住友 日本歯科医学会がプロダクトしようとしているのも、その部分です。これからは得意分野を持つ人たちの個別および集合クリニックが必要になると思っています。自分の専門性をどのように身につけ、継続するかという意味、そして情報の収集と見極めという意味からも、日本歯科医学会の活動が重要になります。ここでいう専門性とは、歯科という基本ベースに加味しての専門性を指し、基本ベースは歯科の世界の共通言語です。 歯科医師であると同時に、できればレベルの高い道楽を持つこと。若いときには海外に目を向けて、医科の発想を知るのと同じように外国人の発想を理解すること。国際社会で活躍するために、まずは日本語での多くの引き出しを持っこと。それには、日本の文化をよく知る必要があります。そうした文化の素養のある歯科医師が育ってほしいものです。茂久田 社会の成熟と福祉の充実によって、衣食住に事欠く人はほぼゼロになりました。この先は、衣食住へさらにお金を費やすのではなく、生命そのものや健康であること、芸術的・精神的な豊かさなど、これまでお金や時間を使わなかった非物質的なところへ価値を見出す人にこそ、衆目一致して尊敬も集まるし、人間的な魅力をみんなが感じることでしょう。 最近、私自身は、大徳寺という千利休さんゆかりのお寺で、茶道を学びはじめました。芸術であったり、日本古来の古典であったり、目に見えないものに触れて、わからないままでいいから受け入れて真似をすることが大切のように思ったからです。そこで学ぶ細かな立ち居振る舞いや、言葉づかいの端々から、お箸の繊細な上げ下げまで。 住友先生は道楽と表現されましたが、そうした文化に触れることで、これからの若い人が海外に出るときに、人間としての味わいが出てくのではないでしょうか。 私たちは、10年先、20年先にも先生から喜ばれて、「今までを振り返ると、MOKUDAのおかげで治療もよくなったし、よい友人も増えたし、いい師匠とめぐり会うきっかけのセミナーを催してくれたし、これからも困ったらMOKUDAへ相談したいな」と思われればベストです。 これからも毎年誕生される若手の先生方が、先輩方と同じ問題を抱えて立ち止まってしまったときに、先輩方の智慧と道筋を正しくコンパクトにまとめてアドバイスできることが、そして新しく疾患を抱えてしまった患者さんに、先回りして新しい治療法・正しく安全な治療道具をお渡し続けることが、MOKUDAの使命と考えています。 住友先生、本日は含蓄のある、たくさんのお話をありがとうございました。

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