デンタルアドクロニクル 2015
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44 座談会短くコストも下がり、歯肉の炎症も抑えられるので大きな進歩です。草間 保険にCAD/CAM冠が採用されたことも、非常に大きなニュースです。ハイブリッド系とコンポジット系を含めて、5種類のブロックが発売され、さらに他社からも出てきますので、ますます選択肢は広がると思います。 かつてはモデルスキャナーでしか撮影できませんでしたが、去年の10月 から口腔内スキャナーでも撮影できるようになりました。茂久田 誰でも簡単に光学印象ができるとなったら、印象における大革命です。印象採得と補綴製作が完璧にできるところまで進んでいるのでしょうか。草間 すでに、スリーシェイプのトライオスとセレックのオムニカムという機種については、パウダーもいらずに、精度も非常に高くなりました。モデルスキャンの適合性がシングルで19ミクロン、マルチプルの修復物で35ミクロンですから、鋳造歯冠修復を完全に凌駕しています。矢野 そのかわり、形成をきちっとしなければダメなんです。真円性と精度の高いバーが必要です。 超音波スケーラーの先に形成用のチップをつけて、マイクロプレパレーションするような、非常に精度の高い形成をすることで、適合性も格段に上がります。草間 接着も、CAD/CAMの発展に伴ってどんどん進化しています。矢野 審美修復で求められる、縁下のマージンに関しては、スキャナーで取り込めないところがありますので、いい印象材はこれからも必要になると思います。未来的には、治療対象の歯だけを精密に個歯トレー印象して、顎関節を含んだ全顎のCTデータと融合させ、精密に補綴することが可能になると思っています。草間 実印象とデジタルデータとをマッチングできますよね。矢野 片顎で印象をとると咬合が高くなりますが、口腔内スキャナーでつくったものは、反対側もちゃんと噛んでいますから、咬合関係が正確にとれます。模型上でワックスアップするよりも、口腔内でスキャンしたほうが、高さ調整のいらないものができます。 私たちの学生時代は、自分でワックスアップをしたり、ポーセレンを焼いたりして、歯の形を理解しながら補綴設計をしていました。CAD/CAMの最終設計では、歯の形態を技工士さんの知識と同等のレベルで再現する必要がありますので、当時学んだ手技がとても役立っています。 咬合面形態や歯の大きさなど、大学の授業や国家試験の勉強には含まれていないことも設計に必要なので、若い先生方にはすこし難しいかも知れませんね。草間 矢野先生がおっしゃるように、ドクター自身が歯の形を知らないとバーチャルカービングは難しいので、もっとソフトウエアが使いやすく改良されるまで、現状ではデザイン担当者として技工士さんを任命することが必要になりますね。 MOKUDAさんには、どんどん進化しているCAD/CAMに対して、「こういうものをどんどんつくって、歯科に取り入れたい」という計画はおありでしょうか。CAD/CAMの素晴らしさをもっと患者さんとスタッフにアピールしたい茂久田 靴や洋服を試着せずに買う人はいないと思いますが、これまでの歯科治療は、事前の「試着」ができませんでした。患者さんがこれまで不安に思っていたのは、治療が完全に終わって「治りましたよ」と鏡を見せられるまで、自分の口がどう復元されるか想像できないので、納得しないままに治療が始まってしまうところにあると考えています。 この不安が、「試着」のできるCAD/CAMのバーチャルシミュレーションで解消できそうですね。模型見本と違って、本人のお口の実状が画面に映り、ファイナル装着後の予想図が映り、色も形もすべてわかる。術前にはっきりと理解できて、現在の顔写真と合成すれば、最終的にどんな顔貌になるかまでわかるというところが、患者さんから大きな信用を得られるので、先生方にとっても、自信と安心感とが喜びにつながると思っています。 そして、治療現場ではスタッフ同士のインターディシプリナリーが加速的に進み、先生の時間を節約し、患者さんが歯の輝きに驚き、衛生士さんと技工士さんの技術にも光が当たって、チームの成果が上がるので、また新しい患者さんが歯医者さんへ定期的に通うという、このサイクルを構築する陰のお手伝いをしています。矢野 世界を眺めても、セラミック、

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