デンタルアドクロニクル 2015
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JAID特集 日々の臨床に役立つ英語論文抄読会 患者さんを前にして日々臨床を行っていくうえで、さまざまなケースに遭遇します。それぞれの患者さんに対してもっともふさわしい処置内容を提示・選択して計画することになります。 その際、治療の予知性、治療期間、治療費用、外科処置があればその侵襲性、患者満足度、審美性、機能性、補綴物の装着感、清掃性、など複合的に考慮する必要があります。それらの問題に対して、臨床家個人の技術や経験から参考になる解答もあるでしょう。しかし、個々の経験は個々のエビデンスであって、国際的に普遍なエビデンスにはなりえません。また、個々の技術や経験は異なりますので、できるだけ普遍的な答えを求めた場合、やはりそれは論文からのデータや結果を参考にするということになります。特に若いドクターは経験も当然まだ浅く、自らのデータから統合的に結論を出すことができるような環境ではないので、世界のトップリーダにより練られた論文を読みそこから知識を得ることは重要であると思います。 しかし、貴重な時間を使って英語論文を数多く読んでも、論文自体が高い評価にふさわしくないものであったり、臨床に直結しないものであったりすると、せっかく費やした時間を有効に使うことができていないということになります。また、論文のデザインや評価方法などを的確に判断できなければ、その結論や結果を誤って鵜呑みにしてしまいがちです。数多くある論文の中で、そういったデザインや評価方法が適切だとは考え難いようなものも存在します(著名な論文であったとしても)。論文を読んで評価するということは、論文を批判するということです。アメリカ留学時に、「論文をcriticizeしなさい」と、よく教えられたものでした。つまり、論文を読むときに念頭においておくことは、自分の臨床に都合の良いような論文の結果だけをまとめていくのではなく、それとは反対に改善するべき点や不完全なところを批判的側面から捉えていくことが大切です。批判することで、さらなる発展へとつながります。とはいえ、批判することのできない100%完全な論文をつくることも不可能であるのも事実です。もちろんそこへできるだけ近づくように論文は作られていきます。引用するのに適した論文とふさわしくない論文があり、そういった論文を批評し、ふるいにかけることで、JAIDの豊富な臨床データを元にした英語論文抄読会と書籍製作活動森本太一朗(Taichiro Morimoto)2004年 九州大学歯学部卒業2004年 米国ロマリンダ大学歯学部インプラント科留学2009年 森本歯科医院勤務2010年 マスター(MSD:MASTER OF SCIENCE IN DENTISTRY)取得吟味された質の高い論文を読むことにより、日々の臨床へとつながる。英語論文の選択、解読時の分析方法や考え方、読み方のコツなどを学ぶことができる。2015年にはEUROPEAN JOURNAL OF ORAL IMPLANTOLOGYの翻訳を予定。96

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