デンタルアドクロニクル 2015
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JAIDの豊富な臨床データを元にした英語論文抄読会と書籍製作活動最終的にそれぞれのテーマに沿った論文からの正しい見解が導かれるようになります。本文を読まずに、要約や結論だけを引用してしまうと間違った解釈になってしまうことが多々あります。例えば個人的には、発表や出版で自らが引用する論文は少なくとも、その内容にすべて目を通しておく義務があると考えます。 このJAID英語論文抄読会セミナーでは、そういった自分がアメリカ留学5年間で膨大な量の論文を読み、抄読会、発表会で学んだノウハウを参加者に伝えられるよう努力しています。英語論文は、ただ単に読めばいいだけだとは考えていません。数多く読むことはもちろん重要なことですが、それと同じくらい大事なことはどの論文を読むかということです(論文の選択)。さらに、論文は読むだけでなく、その内容を詳しく吟味することが重要です。日々臨床で多忙な中、自由に使える貴重な時間を、論文を読むことに費やすことができる勉強熱心さとその向上心を持っているすばらしいJAIDの先生方に、効率良くこれからの臨床へつながるような結果のともなう英語論文の選択、その論文読解時の分析方法や考え方、読み方のコツなどの情報を共有できるようにサポートしています。 そういった意欲と根気のあるJAIDメンバーとともに行っているこの英語論文セミナーは、1回あたり約15編の論文を2日間で読み、ディスカッション・評価・解説するという手法で進めております。英語論文にまだ慣れていない先生にも理解できるように、論文読解に必要ではありますが難解な統計学やそれぞれのテーマの歴史や背景も分かりやすく織り交ぜるよう工夫しています。英語論文を読むことは容易なことではありませんので、時には、英語の言い回しなどもできるだけ伝えるようにしています。また、年に3回のペースで開催しております。それでも、英語論文に慣れるのは相当な時間がかかります。数ヵ月単位でなく数年単位という長いスパンの先にゴールを設定し、最終的には、本来の論文抄読会の姿である「参加者どうしによるディスカッション」が行えるようなセミナーを目指しております。 そして、ここから学んだ知識と個々の臨床技術やそのデータを用いて、このグループ内から英語論文を投稿・出版できればとも考えております。 また、英語論文抄読の延長として2015年にはEUROPEAN JOURNAL OF ORAL IMPLANTOLOGYの翻訳を手掛ける予定です。JAIDの豊富な臨床データを元にした書籍製作活動 JAIDメンバーの豊富なインプラント臨床の経験から生まれた疑問を、英語論文抄読会より得られた知識・臨床技術と臨床から得られたデータを用いてまとめていこうという取り組みも始まりました。その活動の一環として、2014年は、「オーラル・インプラント・リハビリテーション・シリーズvol.1」という書籍の出版にも力を入れました。 本書は、インプラント支持全顎補綴装置を用いた顔貌改善への対応という観点から製作されました。「インプラント埋入即時プロビジョナルレストレーション」装着期間中の筋機能回復トレーニングを行うことで、咀嚼力、表情筋、唾液分泌、舌の動きなどに大きな改善が見られるということに着目したものです。つまり、多数歯にわたり歯周病に罹患し、正常な位置から挺出、傾斜を繰り返し、さらに歯の喪失により、垂直顎間距離の短縮が起こります。このように顔貌に大きな変化をもたらし、歯を喪失することによりさらに筋量も顕著に低下します。この状態を分析・分類して、インプラント補綴治療の指針のひとつにしていこうというのがこの本のテーマです。これは、最終補綴物装着までに必要な期間は、インプラントのオッセオインテグレーション、軟・硬組織の治癒以外にも必要なものがあるということを示しています。左 2014年に発売されたオーラル・インプラントリハビリテーション・シリーズvol.1。右 書籍より一部抜粋。側貌をトレーニングによる治療難易度で5つのタイプに分類。治療の概略の指針とする。97

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