デンタルアドクロニクル 2016
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101臨床力アップ  に直結! 話題の研修・セミナー情報!臨床力アップ  に直結!臨床力アップ  に直結!臨床力アップ  に直結!講師が語る嚥下』という用語が一般の歯科医師の間でも広く使われるようになってきましたが、歯科の立場からすれば『摂食・咀嚼・嚥下』とするべきだと考えています。どうしても、この分野は医科から始まったことなので抜け落ちてしまったのでしょうが、食べるということは咀嚼によって食物をすり潰し、筋と粘膜との協調運動によって食塊として飲み込むものなのですから、咀嚼の2文字を忘れてはなりません」 40年以上前から、咬合、咀嚼に加えて筋機能療法についても研究してきた繁氏ならではの言葉である。また、その研究の成果として登場した摂食嚥下訓練器具「ラビリントレーナー」も、コナミ社から発売されてますます好評となっている。 「ラビリントレーナーは大きな成果を挙げています。噛めるというだけではなく、話す、飲み込む力を維持・増進することも歯科の役割としてますます重要になってくるのではないでしょうか(繁氏)」「第1回 咬合認定医コース」に臨んで こうした中、IPSGではこれまでに行われてきた各種コースに加え、2016年5月から「第1回 咬合認定医コース」を開始するという。その意図について、まず由里子氏にうかがった。 「IPSGではとくにテレスコープ義歯の応用について先生方にお伝えしているのですが、最近ではとにかく印象さえ採って歯科技工士に渡せば自然にできあがってくると思っている先生方が増えている気がしています。ですがご存じのとおり、印象採得だけでなく、しっかりと中心位を定めて咬合採得も行わなければ、精度の高いテレスコープ義歯など望むべくもありません。このコースは、この咬合の重要性について、歯科技工士の参加も募ってともに学んでいくものです。今までにも咬合のコースは行っていたのですが、1回あるいは2回の短期でしたので、今回は全8回でしっかりと学んでいただきます」 これまでのコースとは異なり、とにかく咬合に焦点を絞ったコースとのことである。繁氏がこう続ける。 「咬合に関する教育は、大学ではほとんどなされていません。ですが、歯科医師として卒後にもっとも必要とされるのは咬合の知識です。最近、臨床でも学会でもインプラントに関する内容がさかんに取り沙汰されていますが、総義歯にしてもインプラントにしても結局は咬合をつくるための手段にすぎませんから、とにかく咬合は最初に学ぶべきものなのです。大事なことは、咬合をどうつくり、いかに健康にかかわるか、ということです」 IPSGが伝授するテレスコープ義歯も顎関節症治療も、すべて咬合あってのこと。本コースの開催は、もはや必然だったといえそうだ。また、歯科技工士の役割をたいへん重視している点もIPSGの特徴である。 「もともと、歯科技工は歯科医師自らの仕事であったものが、国民皆保険制度によって歯科医師が多忙になってしまったために、歯科技工士に作業を委託するようになって現在に至っています。ですが、最近の若い先生方の中にはそのことをご存知でなく、技工は技工、歯科診療は歯科診療としてまったく別なものとして捉えている方もおられます。しかし、高度な補綴治療を行おうとするならば歯科医師自身が歯科技工に対する知識をもたなければなりません。歯科技工士は、単に歯科技工を担当する人ではなく、歯科医師の右腕です(繁氏)」 高度な治療を提供するためのパートナーなのだから、共に学び、相応のコストを支払うことは当然。そんな、当たり前のようでいて当たり前でない歯科医師と歯科技工士の関係がIPSGにはあるのだ。そして、こうした環境の中から安定した長期経過症例が生まれる。 「IPSGのコースでは、正しい設計や咬合の与え方によって30年、40年経過したケースをお見せしています。お若い先生方にとっては、ご自分が生まれる前からの症例もあり、非常に感銘を受けるようです。歯科治療の成否はその直後だけで評価できるものではなく、10年、20年、そして30年という時間軸の中で評価されるべきだということを実感していただけるでしょう(由里子氏)」 歯科医療にも論文ベースのエビデンスが求められる昨今。もちろんそれも重要だが、繁氏の長期症例を目にした参加者たちは、繁氏がレクチャーで紡ぎだす言葉の重みをより深く実感することだろう。 「何といっても論より証拠、です。2014年にIPSGでお招きしたチュービンゲン大学歯学部長のヴェーバー教授も25年、30年が経過した症例を提示しておられますが、やはり長期症例には説得力があります(繁氏)」 好評につき、席数も残りわずかという今回の「第1回 咬合認定医コース」。さらにIPSGでは、この他にもパーシャルデンチャーや顎関節症の治療、そして咬合治療に関するコースも多数用意しているため、ぜひ参加してみていただきたい。実際の患者を用い、咬合について徹底して学ぶことができる。

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