デンタルアドクロニクル 2016
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133133大信貿易株式会社・京都機械工具株式会社インプラント臨床に革新2.スクリューの緩み・締め過ぎ・バラつきを防止し、最適なフィットを実現するラボトルクドライバ高橋ラボトルクドライバ(図4)の利点は、まずトルク値をメモリーとして、5つまで設定できる点ですよね。また、ドライバラインアップが6種類あり、既存のインプラントシステムに幅広く対応できます。 ラボトルクドライバは100分の1まで、非常に細かいトルク値を出すことができます。設定したトルク値のメモリーに近づいてくるとピッピッと音と光で知らせてくれます。そのトルク値に達するとピーッと音の出方が変わります。さらに、アバットメントを緩めようとしたときの逆のトルク値も計ることができるのも、画期的な性能だと思います。歯科技工士としては、インプラント補綴を製作する際に、この器具についてどういった特長を感じておられますか。瀬田たとえば「歯科技工所では12Ncmで締めました」と、アバットメントの締結トルク値を歯科医師側に伝えられるのが最大の利点です。高橋開発するときに当初、私たちが懸念したのが「石膏模型が壊れてしまうのではないか」ということです。実際のところはどうですか。瀬田逆に、ラボトルクドライバを用いたほうが壊れにくいでしょうね。今まではあまり意識せずに可能な限り強く締結する傾向がありました。「締まるところまで締める」という癖が、歯科技工士にはついていると思うんですよね。それは「何かあったら困る」という心配からなのですが、締めすぎによる問題も最近は指摘されていますからね。高橋実際にたとえば35~45Ncmで締めても模型は壊れませんか。   まず壊れません。もっとも、実際に模型上で35Ncmで締めたことはほとんどありませんけれどね。最大で20Ncm、平均で12~16Ncmの間といったところでしょうか。高橋アバットメントスクリューを過度に強い力で締めつけてしまうと、傷がついたりする危険性がありますよね。補綴にこだわる臨床医は、当然ながらその点を非常に気にします。瀬田それは、このドライバを使用することでかなり改善されると思います。何Ncmで締めてきたのかを歯科医師サイドに提示する、すなわち数値を伝えることで、口腔内と模型上での条件が、より一致します。ラボサイドで行っている作業がより口腔内に反映されるようになったのは大きな革新だと思います。3.1本ですべてのインプラントに対応でき、精度・使いやすさ・耐久性のすべてを兼ね備えたトルクラチェットレンチ高橋次に、新発売のトルクラチェットレンチ(図5)について解説します。まず、一般的なラチェットレンチと異なり、ビーム(レバー)が軸の横ではなく中心にあるため、非常に精度が高くなっています。 また、これは工業界では当然のことなのですが、置き針式になっていて、最大トルク値を印記できます。つまり「最大トルク値がどのくらい出ていたのか」を簡単に把握することができるので、そこに気を取られ過ぎないで治療ができます。 そして、このラチェットの最大の特長は、ギアの歯数が48枚であるところでしょう。既存のレンチは、12枚、16枚、あるいは多くても24枚でしたから、それに比べるとかなり細かな作業ができます。たとえば、歯が12枚の場合は、30度回さないとラチェットが噛んでくれません。これだと、たとえば隣在歯がある場合は回し終わる前に歯に当たってしまうこともありますし、締めるたびにいちいち外さないと作業が進まないという難点がありました。一方、トルクラチェットレンチは7.5度ごとに噛んで締結できます。しかも、1回締めるごとに外さなくて良い構造になっているのです。 また、ラボトルクドライバに使用しているドライバ類は規格がすべて一緒なので、そのままNewton-1やトルクラチェットレンチに使用できます。また、アダプターも同じです。アダプターにコントラハンドピース用のインプラントドライバを入れれば、そのまま使用できます。 さらに、かけられるトルク値が15~60Ncmと幅広いのも大きな特長です。通常のラチェットでかけられる最大トルク値は35Ncm程度のものが一般的ですが、トルクラチェットレンチなら高トルクが必要な症例でも応用可能です。また、多くのインプラントシステムと互換性があるので、複数メーカーのインプラントを使用している先生は、これ1本でトルク管理ができるのです。瀬田このレンチが有する利点も、ラボトルクドライバと共通する部分がありますね。歯科技工士からみても、臨床に即した非常に精密な作りになっていると思います。図4 ラボトルクドライバ。瀬田図5 トルクラチェットレンチ。133

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