デンタルアドクロニクル 2016
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8181The KND Storyれるかもしれないが、顔料の配合率が異なれば各シェードごとの焼成収縮量も当然異なってくるため、湾曲や境界での剥離といった事象が起きかねない。それを防ぎ、なおかつ高い自然感が得られるディスクを製造するためには、やはり素材レベルからのコントロールが必須なのである。そして、それをクラレノリタケのセメントで装着することで、より高い口腔内での安定が得られるというわけである。とくに、「ノリタケカタナジルコニア UTML/HTML」は最新ラインナップとなる高透光性ジルコニアであり、セメントのシェードによっても装着後の結果が左右されてしまう。そこにおいて、クラレの接着技術が活かされた「パナビアV5」はベストマッチする。「パナビアV5」は、MDPや新規触媒技術による高い接着力とオールセラミックス・クラウンの装着に適した5種類のシェードをもち、さらに装着後の色調が変化しないアミンフリーの組成が特長のレジンセメントである。このようにクラレノリタケの技術の代名詞的存在である「MDP」の技術を生かした製品開発は、今後も歩みを止めることはない。現在では各社から「MDP」を配合したセメントが登場してきているが、やはり本家本元の「MDP」はこれまでの技術の蓄積が違う。非常に密接な関係にあるオールセラミッククラウンと、装着材料を一つの会社がすべて日本国内でコントロールして製作している安心感は、他社の製品には代えがたい魅力になってくる。●新潟の新工場から、さらなるシナジー効果を発信。 クラレは、2012年の統合時に歯科材料部門の生産を新潟へ移転した。クラレ創業の地・倉敷では業容の拡大にあわせた拡張が困難になったためである。それぞれの事業部が段階的に各地の事業所へと移っていったが、歯科は最後まで倉敷に残り、2012年の9月にすべて新潟工場への移転を完了した。倉敷の地には、クラレの往時を偲ぶ記念館が建設されているという。ここではクラレノリタケの高分子系材料が生産され、同じくクラレノリタケのセラミック材料は三好工場(愛知県みよし市)で生産されている。 クラレノリタケの今後のビジョンとしては、より幅広く国内・海外へと浸透していくこと、そして今後のデジタルデンティストリー時代を見据えた装置や材料の展開が挙げられる。世界的にオープンなデジタルデンティストリーが広まる中で、どのメーカーの装置に対してもすぐれた物性をもつ材料を、素材レベルから研究開発すること。それが大きな目標である。 すでに世界90ヵ国で親しまれている、クラレノリタケの歯科材料。そのシナジーの先に、無数の笑顔がある。▲CAD/CAM冠用レジンブロック「カタナアベンシアブロック」。▲マルチレイヤードタイプのジルコニアディスク「ノリタケカタナジルコニアUTML/STML」。

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