デンタルアドクロニクル 2016
91/172

89JAID特別座談会鈴木仙一1984年 日本大学松戸歯学部卒業1987年 ライオン歯科開業JAID顧問、ICOI米国本部理事庄野太一郎1994年 昭和大学歯学部卒業1999年 庄野歯科診療所開設JAID副会長天川智央1991年 日本歯科大学卒業1995年 天川歯科クリニック開業五十嵐 一1987年 朝日大学歯学部卒業1990年 五十嵐歯科医院開業ICOI)アジアパシフィック地区副会長義歯では、ストレスなく笑うことができないのです。 ストレスを感じずに笑うだけで、脳の中から、いわゆる快楽物質というのが出ますよね。あれがいわゆるがん予防などになるといわれていますが、動かない、取れないインプラントによってストレスなく笑えることは、健康にもつながるのです。【五十嵐】この書籍が今までの本と決定的に違うのは、インプラントと筋肉とのかかわりを述べたことです。そして垂直顎間距離を上げる意味、咀嚼筋と退化した筋肉には決定的な違いがあることを解説しています。それに加えて、首が咀嚼に対して役割をすごく担っているということを、初めて生理学的に解き明かして出版した本だという自負心があります。 歯科医師がただ歯を治療して終わりというのではなく、咀嚼するということは、姿勢を制御し筋力全体を高め、そのことにより健康寿命を上げていくという概念を伝えることで、歯科が大きく健康寿命にかかわることの大きな起点になるような本になっていると思います。【天川】最近の症例で、50代後半の女性がいました。上顎前歯部の咬合崩壊で咬合高径が下がり、いわゆる老人様顔貌になっていた患者さんでした。その方に即時埋入インプラントを行い、プロビジョナルレストレーション装着期間中に口腔周囲筋トレーニングを行いました。 初診時からしばらくは、ずっとマスクをしていたのですが、最近いらっしゃるとマスクを外していて、それ以来ずっとマスクなしで来院されています。顔つきもだいぶ変わってきて、自信を持ってこられたのだと思います。 もちろんインプラントには咀嚼機能を高めたり、また唾液を出すことを促進したりする身体的な効果がありますが、このように精神的な面も大事ではないかと思います。書籍製作によって臨床の何が変わったか【新井】4人の先生方が話されたように、インプラントによって健康寿命も長くなります。 しかし、インプラントが長持ちしないと意味がありません。今回書籍で私が担当させていただいたところでは、どうやって長持ちさせるようなインプラントの上部構造の設計をするのか、あるいはどうやって壊れないようにするのか、そしてより長持ちさせるためのメンテナンスに関して深く掘り下げて書かせていただきました。 本を制作するに当たって、多くの文献を調べたのですが、ある程度答えが出て

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 91

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です