デンタルアドクロニクル 2017
125/164

123マウロ ラバンカ・サージカルキットの臨床応用図3 チークリトラクター ラバンカ。幅の違う3種で1セットになっている。図4 患者や術式に応じて、自由に屈曲させて変形させることが可能。図5 ペリオスチール ラバンカ 改良型3。先端部まで長く伸びて途中から適度な角度に屈曲した形状を有する。図6 骨面にあてがいフラップを反転させると、効率的に口腔外からの明視野を確保できる。図7 ペリオスチール ラバンカ 改良型2。先端部分は鋭利でありつつもなだらかな曲面を描く精細で美しい形状を呈する。図8 チークリトラクター ラバンカ、ペリオスチール ラバンカ 改良型3、ペリオスチール ラバンカ 改良型2を使用し、術野の確保と開創を行う。図9 ボーンキュレット ラバンカ。下顎臼歯部の歯根端切除後の骨造成。図10 ブラックラインボーンプラガー ラバンカ。長方形型プラガーの5面を用い填入操作を行う。 また、ペリオスチール(骨膜剥離子)は本来組織の把持・保護・排除のために用いられ、一般的な外科手術において術中の偶発的な損傷を軽減するために非常に重要です。ペリオスチール ラバンカ改良型3は、11mmと幅広く先端部まで長く伸びて途中で適度な角度に屈曲した形状を有しています(図5)。また、先端部には滑り防止の刻み(ギザ)が付与されているので、骨面にあてがいフラップを反転させると、軟組織を保護しつつ効率的かつ容易に口腔外からの明視野を確保することができるのです(図6)。一方、ペリオスチール ラバンカ 改良型2(図7)は、私が今までに使用したペリオスチールの中でベストと言える器具です。先端部分は鋭利でありつつも、なだらかな曲面を描く精細で美しい形状は、まさに熟練者のハンドメイドでしか成し得ない製造技術の高さを感じさせられます。骨膜剥離子でありながらトンネリング効果も見込め、開創は非常にスムーズに行えます。一度使用すれば、その素晴らしさは誰にでも実感できるはずです(図8)。 そして、骨造成を行う際に使用するボーンキュレット ラバンカ(図9)とブラックラインボーンプラガー ラバンカは、骨欠損部への骨造成材料の補填を容易にしてくれます。特にボーンプラガー ラバンカは、縦位置と横位置の長方形型プラガーがそれぞれ両頭についていて、長方形型の5面を上手に使い分けて補填や填入操作を確実にします(図10)。狭い骨欠損部の隙間や抜歯窩内などへ填入する際には、器具の角張った見た目以上の扱いやすさを感じました。 今回、Hu-Friedy製品に新たに加わったラバンカ教授発案の外科器具類は、どれもみな手術の効率性を向上させるものです。ラバンカ教授が解剖学および口腔外科学に精通しているがゆえに、“外科器具がいかに術者の手の延長上になり得るか”という観点で発案されていることを感じます。実践に即したアイデアが、Hu-Friedy社の優れた伝承技術によってまた新たな形となり、実践的で効率的な外科器具が誕生したことを嬉しく思います。

元のページ 

page 125

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です