デンタルアドクロニクル 2017
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127生物学的形成テクニック(BOPT)を応用したPRAMA (スウェーデン&マルティナ社)がもたらすインプラント補綴の新たな可能性図7 Dr. Marco Csonka(イタリア、カターニアにて開業)による症例。PRAMAインプラントへのBOPTを応用したインプラント補綴。図5 下顎大臼歯部位へのPRAMAインプラント埋入。粘膜貫通部2.8mmのネック部。図4 実物のPRAMAインプラント。図6 術直後のパノラマX線像。BOPTを応用したPRAMAとは?編集部 BOPTを応用したPRAMAとは、他のインプラントと何が異なるのでしょうか。高橋 PRAMAが誕生する以前、ロイ氏らはもともとスウェーデン&マルティナ社のスタンダードなラインとして知られるプレミアムインプラントを用いて、BOPTを応用したインプラント補綴を行っておりましたが、よりBOPTに適したネック形状を有するPRAMAがその後誕生したわけです(図2)。粘膜貫通部であるネック部の高さは、生物学的幅径の観点から2.8mmに設定されています。アバットメントを装着すると、双曲線形状のネック部からアバットメントにかけて、スムースなプロファイルを描きます。接合部のプロファイル直径はφ3.4で、すべての太さのフィクスチャーにおいて統一されています。よって、どの直径のフィクスチャーにおいてもインプラント周囲粘膜の厚みを確保し、粘膜貫通部の幅は最小限に抑えられるデザインになっています(図3、4)。粘膜貫通部のネック形状が意味するものとは?編集部 近年、骨レベルタイプのフィクスチャーが多く流通しております。そのような中で、PRAMAのネック形状を私たちはどのように受け止めたらよろしいでしょうか。高橋 現在多く見られる骨レベルに接合部を配置するインプラントは、近接したマイクロギャップと生体力学的なネック部への応力集中という観点において、多少なりともリスクを背負っています。そういう意味で粘膜貫通型のインプラントは、それらのリスクを軽減させる可能性を有していると思います(図5、6)。そして、粘膜縁上もしくはBOPTを応用してわずかに粘膜縁下から立ち上がる上部構造のプロファイルは、骨レベルタイプのインプラント周囲粘膜よりも粘膜組織の厚み、血流という点において有利になると考えています(図7)。現在、世界では、不健康なインプラント周囲組織で維持された審美補綴について、疑問が投げかけられています。これからのインプラント治療は、たとえそれが審美領域の治療であろうとも、健康な周囲組織を構築したものでなくてはなりません。PRAMAには、審美領域もまた健康な周囲組織で覆われ、長期的に維持し続けるインプラント補綴を可能にすることを期待しています。編集部 ありがとうございました。

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